「バンブルビー」@109シネマズ川崎
初日の夕方。2D字幕版を上映するシアター4には、小さなお子さんから大人まで、3~4割位の寂しい客入りだ。

映画の話
父親を亡くした悲しみから立ち直れずにいる少女チャーリーは、18歳の誕生日に小さな廃品置き場で廃車寸前の黄色い車を見つける。すると突然、その車が人型の生命体へと変形。驚くチャーリーを前に逃げ惑う生命体は、記憶と声を失って何かに怯えていた。チャーリーは生命体を「バンブルビー(黄色い蜂)」と名づけ、匿うことにするが……。
映画の感想
「トランスフォーマー」シリーズ初のスピンオフ作品であり、時系列で言うと一番初めの作品となるのが「バンブルビー」だ。そして、本作はシリーズ初のマイケル・ベイ監督でない作品なのだ。今回の監督はストップモーション・アニメ「KUBO クボ 二本の弦の秘密」
のトラビス・ナイトで、彼にとって初の実写作品である。
そんなこんなで何か一抹の不安はあったが、ふたを開ければ紛れもなく「トランスフォーマー」シリーズであり、ビーとチャーリーの友情は「トランスフォーマー」版の「E.T.」
であり、時代設定が1987年という事で、80年代ポップカルチャーを散りばめた良質な青春映画となっている。
本体となる「トランスフォーマー」シリーズは回が進むごとに、物語が大掛かりで複雑化してしまい、ごちゃごちゃとした混迷を極めてしまったが、本作の物語はいたってシンプルだ。
機会いじりが好きな元高飛び込みの花形選手だったチャーリーは、父親の死から立ち直れず居たところに、修理工場で手に入れた黄色いボロボロのビートルを修理して走るようにするが、実はこのビートルこそトランスフォームしたバンブルビーであった。ロボットにトランスフォームした臆病なビーとチャーリーは心を通わせて友情をはぐくむ。しかし、地球侵略を企む悪の組織ディセプティコン2体もバンブルビーを追って地球に飛来していた。
といった非常にわかりやすいストーリーで誰が見ても楽しめる様にできている。軍隊の演習中に地球に落下したバンブルビーを軍隊が追い回す冒頭は正に「E.T.」を彷彿させる展開で、その軍隊のリーダーが何と私の大好きな映画「ネバー・サレンダー 肉弾凶器」
のジョン・シナだ。単細胞な体育会系の少佐役をシナが好演する。
物語の主人公チャーリーと彼女に憧れる隣人の黒人青年メモはいわゆるオタク系だ。高校ではマイノリティな存在で、クラスメイトからバカにされている。そんなチャーリーが好きな映画はジョン・ヒューズ監督「ブレックファスト・クラブ
」だ。こちらも体育会系男子とオタク少女が心を通わす物語でオマージュと受け取れる。ビーが繰り返し見ていたジャド・ネルソンのガッツポーズは予想していた通り、物語後半に効果的に使われて、何気にジョン・ヒューズまでリスペクトされてうれしい。
物語を見るとロボット同士の戦闘シーンはマイケル・ベイの演出を受け継ぎながら、物語全体を通して語られるビーとチャーリーの友情は本作のプロデューサーのスティーブン・スピルバーグへのオマージュのように感じた。スピルバーグが「E.T.」で描いた異星人と少年の友情と離婚していなくなった父への想いは、本作ではロボットと少女に代わり、父は亡くなり、その父の喪失感を主人公が乗り越える物語へとなっている。
非常に良く出来た物語で、チャーリーの父が好きだった曲を彼女とビーが聴くシーンでは不覚にも涙があふれてしまった。監督のトラビス・ナイトは演出が丁寧で「すっと」心に入ってくるドラマシーンの演出に何度も目頭が熱くなった。自分でも「トランスフォーマー」を見て泣くとは思っていなかった。
幕引きも湿っぽい演出を使わず、ビーがトランスフォームする「カマロ」で笑いに転化させて、1作目「トランスフォーマー」
に繋げた潔い演出も見事だ。
「バンブルビー」は旧作との整合性をとりながら、違和感なく新たな物語を作り出した。これは傑作だ。多くの人に見てほしい作品である。
「ブレックファスト・クラブ」よりジャド・ネルソンのガッツポーズ
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映画の話
父親を亡くした悲しみから立ち直れずにいる少女チャーリーは、18歳の誕生日に小さな廃品置き場で廃車寸前の黄色い車を見つける。すると突然、その車が人型の生命体へと変形。驚くチャーリーを前に逃げ惑う生命体は、記憶と声を失って何かに怯えていた。チャーリーは生命体を「バンブルビー(黄色い蜂)」と名づけ、匿うことにするが……。
映画の感想
「トランスフォーマー」シリーズ初のスピンオフ作品であり、時系列で言うと一番初めの作品となるのが「バンブルビー」だ。そして、本作はシリーズ初のマイケル・ベイ監督でない作品なのだ。今回の監督はストップモーション・アニメ「KUBO クボ 二本の弦の秘密」
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そんなこんなで何か一抹の不安はあったが、ふたを開ければ紛れもなく「トランスフォーマー」シリーズであり、ビーとチャーリーの友情は「トランスフォーマー」版の「E.T.」
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本体となる「トランスフォーマー」シリーズは回が進むごとに、物語が大掛かりで複雑化してしまい、ごちゃごちゃとした混迷を極めてしまったが、本作の物語はいたってシンプルだ。
機会いじりが好きな元高飛び込みの花形選手だったチャーリーは、父親の死から立ち直れず居たところに、修理工場で手に入れた黄色いボロボロのビートルを修理して走るようにするが、実はこのビートルこそトランスフォームしたバンブルビーであった。ロボットにトランスフォームした臆病なビーとチャーリーは心を通わせて友情をはぐくむ。しかし、地球侵略を企む悪の組織ディセプティコン2体もバンブルビーを追って地球に飛来していた。
といった非常にわかりやすいストーリーで誰が見ても楽しめる様にできている。軍隊の演習中に地球に落下したバンブルビーを軍隊が追い回す冒頭は正に「E.T.」を彷彿させる展開で、その軍隊のリーダーが何と私の大好きな映画「ネバー・サレンダー 肉弾凶器」
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物語の主人公チャーリーと彼女に憧れる隣人の黒人青年メモはいわゆるオタク系だ。高校ではマイノリティな存在で、クラスメイトからバカにされている。そんなチャーリーが好きな映画はジョン・ヒューズ監督「ブレックファスト・クラブ
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物語を見るとロボット同士の戦闘シーンはマイケル・ベイの演出を受け継ぎながら、物語全体を通して語られるビーとチャーリーの友情は本作のプロデューサーのスティーブン・スピルバーグへのオマージュのように感じた。スピルバーグが「E.T.」で描いた異星人と少年の友情と離婚していなくなった父への想いは、本作ではロボットと少女に代わり、父は亡くなり、その父の喪失感を主人公が乗り越える物語へとなっている。
非常に良く出来た物語で、チャーリーの父が好きだった曲を彼女とビーが聴くシーンでは不覚にも涙があふれてしまった。監督のトラビス・ナイトは演出が丁寧で「すっと」心に入ってくるドラマシーンの演出に何度も目頭が熱くなった。自分でも「トランスフォーマー」を見て泣くとは思っていなかった。
幕引きも湿っぽい演出を使わず、ビーがトランスフォームする「カマロ」で笑いに転化させて、1作目「トランスフォーマー」
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「バンブルビー」は旧作との整合性をとりながら、違和感なく新たな物語を作り出した。これは傑作だ。多くの人に見てほしい作品である。
「ブレックファスト・クラブ」よりジャド・ネルソンのガッツポーズ
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