「来る」@109シネマズ川崎

 公開から2週間ほどたったクリスマスの平日。シアター9の客入りは30~40名位か?

   



   映画の話
 恋人の香奈との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に謎の来訪者が現れ、取り次いだ後輩に「知紗さんの件で」との伝言を残していく。知紗とは妊娠した香奈が名づけたばかりの娘の名前で、来訪者がその名を知っていたことに、秀樹は戦慄を覚える。そして来訪者が誰かわからぬまま、取り次いだ後輩が謎の死を遂げる。それから2年、秀樹の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、不安になった秀樹は知人から強い霊感を持つ真琴を紹介してもらう・・・。

   映画の感想
 いつも通りに何も知らず、ただ「妻夫木聡が出演しているオカルト映画」とうわさを聞き作品を鑑賞したが、これは面白い!!あまり宣伝していないがホラー好きな方は絶対に楽しめると思う。

 幕開けは主人公の幼少時代を描いた、いかにもジャパニーズホラーっぽい思わせぶりなスタートの後、日本映画らしい土着的な描写を経て、主人公の結婚式からパーティーや、日常生活が軽快なクラッシック風なピアノ曲に乗って妙にハイテンションに描かれる。何か幸せアピールを周りに発信し続ける主人公の姿は、今流行りのインスタ映えや、SNSを使い自慢し続けるノー天気なパリピたちを揶揄しているようだ。更に物語を見ていると段々と何かの魔の手が主人公達に迫ってくる。

 本作は全体が3部構成に分かれており、妻夫木聡演じる秀樹、黒木華演じる香奈、岡田准一演じるフリーライターと巫女の松たか子の物語が順番に描かれる。

 それにしても本作のキャスティングは実に個性的だ。松たか子のバカな妹で巫女もどきの真琴役に小松菜奈、意表を突いた霊媒師役を柴田理恵が怪演、お笑い芸人のピスタチオ小澤レギュラー、「スーパーの女では鮮魚コーナーの店員だった伊集院光が出世して、本作では店長に上り詰めた。本作の特徴は他の映画が使わないようなタレントたちを積極的にキャスティングしている。

 本作は基本的に何かが主人公たちを恐怖のどん底に落とし込むが、その何かが描かれない。それは主人公たちが抱える心闇が作り出したものなのか?それとも呼び寄せてしまったモノなのか?判らないが、大量の毛虫の出現と共に主人公たちに襲い掛かる。この描写は虫嫌いの方にはかなりキツイ描写かもしれない。

 本作のキャストは男性陣が弱く、女性陣が強い。良妻を演じてきた黒木華が恐怖に狂い、心身を衰弱して男に走るビッチを好演し、クールな巫女を松たか子が怪演する。松たか子の役はスピンオフでもう一本映画が作れる位にキャラが立っている。そして、先に書いた柴田理恵はこういう怪演が出来る女優として評価したい。

   以下ネタバレ注意

 冒頭から中盤まではジャパニーズホラーの王道を行くような演出であるが、クライマックスのぶっ飛び具合が半端ない。何かに憑りつかれたマンションを除霊するために、近辺一体を「ガス漏れ」と称して、住民たちを全員避難させて、全国から集まった霊媒師たちでマンションを除霊するというものだ。そう、この展開はまさに「オカルト版『未知との遭遇』」である。この映画の中でUFOを呼ぶ為に、政府が行う偽装工作儀式とよく似ている。

 和太鼓に踊る巫女。日本の伝統を受け継いだ儀式を取り入れた除霊儀式は圧巻だ。映画ならではのハッタリをかました演出が秀逸だ!除霊の顛末は伏せるが、日本映画を見て久々にワクワクさせるシーンである。

 幕引きはあっさり。エンドロールも完結明瞭。私の中で「こんな凄い映画の監督は誰だったんだ?」とエンドロールを見て最後に登場する名前が「中島哲也」だ。「告白渇き。

ら挑発的な作品が得な監督だ。そういわれてみればギラついた照明や、音楽の使い方、暴力的なスプラッタ描写や、知沙が見る「オムライスの夢」のポップなMTV風な映像など中島監督ならではの映像美だ。

 「クリスマスにオカルト映画?」なんて、私は映画を見る前は全く乗る気が無かったが、本作の最後の背景が何気にクリスマスだったりで、今年最後の劇場鑑賞作品に相応しい最高の拾い物と出会えた。これだから映画はやめられない。「来る」は今年最後のダークホース的なオカルト映画である。

   原作本

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  • 『来る』109シネマズ木場7

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