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zoom RSS 加藤剛さん追悼、松竹「影の車」(70)

<<   作成日時 : 2018/07/09 18:51   >>

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 先月18日に俳優の加藤剛さんが亡くなった。

 テレビのニュースや情報番組で、加藤さんの訃報が多く取り上げられているが、主な代表作品がこぞって映画「砂の器」(74)と、テレビドラマ「大岡越前」である。確かに間違っていない。

私はテレビドラマをあまり見ないので「大岡越前」の事は判らないが、「砂の器」は好きで何度もDVDで拝見している。「砂の器」で加藤さんは天才作曲家で物語の中心にいる人物だが、出演場面は多くない。クライマックスのピアノ管弦組曲「宿命」をピアノ演奏する姿が強く印象に残り、多くの方は思い入れがあるのだろう。

 もちろん私も「砂の器」の加藤さんも好きだが、もっと好きな作品がある。

 それは「砂の器」と同じ松本清張原作、野村芳太郎監督の70年の松竹映画「影の車」だ。



 加藤さんの役は、旅行会社に勤務する妻(小川真由美)ある平凡なサラリーマンの浜島だ。ある日、バスで昔馴染みの女性・康子(岩下志麻)と再会し、その女性と不倫関係に陥る。しかし、夫を亡くした康子には六歳の息子・健一がいる。この健一がいっこうに浜島になつかない。そんな健一の姿を見て、浜島は誰にも言えない自分の秘めた少年時代を思い出す・・・・。

 物語だけ書くと伝わり辛いが、野村監督の手にかかると素晴らしい心理サスペンスとなる。ごく平凡なサラリーマンが保険外交員の未亡人と不倫関係に陥るメロドラマの要素を持ちつつ、主人公が子供の時に犯した罪が、回り巡り自分の身に降りかかる、今でいうブーメランの様な残酷な物語だ。

 少年時代の浜島の記憶映像はネガ反転した様なカラーフィルム映像を使い、主人公の断片的な記憶が綴られ、浜島のの複雑な生い立ちを丁寧に掘り下げる。少年時代、最愛の母を奪ったおじさんを忌み嫌った浜島であったが、今、自分自身が嫌っていたおじさんと同じ立場になり、健一に対して疑心暗鬼に陥る。

 この浜島の疑心暗鬼が作品の中で随所映像化される。ほぼ幻想的なホラー映画みたいな妄想シーンは、後に野村芳太郎が監督した「八つ墓村の夢のシーンの片鱗を彷彿させる演出にしびれる。演じる加藤さんの精神が追い詰められたノイローゼ的な演技が秀逸だ。

 「影の車」は後に水谷豊風間杜夫主演で2時間ドラマ化されたが、どちらも松竹版を超える事は無かった。

 「影の車」は、今となっては古臭い映画になってしまうが、芥川也寸志の書いた甘美なスコアと相成り心理サスペンスの名作だ。ぜひ騙されたと思ってご覧いただきたい。

 最後に、謹んで加藤剛さんのお悔やみ申し上げます。

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