【試写会】 「キャリー」@よみうりホール

 今回の試写会は客入りが悪く一階席が7~8割くらい、二階席が3~4割くらいだ。客層は若い層から大人まで幅広い。日本語吹き替え版での上映である。

   

   映画の話

   狂信的クリスチャンの母親から厳しい教育を受け、学校では周囲から疎外されている女子高生キャリー(クロエ・グレース・モレッツ)。彼女は、激しい興奮状態に陥るとある能力を使うことができるテレキネシスだった。それを誰にも打ち明けることなく、キャリーはつらく寂しい日々を送っていた。そんな中、ひょんなことから彼女は女生徒たちの憧れの的であるトミーとプロムパーティーに参加することに。喜びに浸るキャリーだが、その裏では彼女への残酷ないたずらが計画されていた。


   映画の感想
   スティーヴン・キング原作×ブライアン・デ・パルマ監督の傑作ホラー「キャリー」(76)をリメイクした作品だ。作品は表現方法に+αを加えながら、オリジナル版をほぼ忠実にリメイクしてしまった為に、先の展開が手に取るように判ってしまい面白みに欠ける。今回のリメイク版が初見の方には楽しめるかもしれないが、偉大なるオリジナル版の前ではVFXを駆使しても太刀打ちは出来ない。


 まずキャリー役のクロエ・グレース・モレッツが幼く可愛すぎる事も難点だ。オリジナル版キャリーを演じたシシー・スペイセクみたいに、見た目からマイノリティーの苛められっ子風情がにじみ出ていれば適役なのだが、本作のモレッツは頑張っているもののミスキャストに感じた。それから今回はモレッツを始め同級生役のキャストが全体的に幼な過ぎる事も迫力に欠ける。オリジナル版ではスペイセク始め、ナンシー・アレン、ジョン・トラボルタ、エイミー・アービングら主要キャストは撮影時全員が成人を超えた年齢で高校生を演じていた訳で、みんな芸達者なキャストが集まっていた。特にスペイセクの目の演技と表情は絶品だった。

   以下ネタバレ注意

 さてリメイク版に話を戻すと、今回はキャリーが生まれるシーンから始まる。これはキャストクレジットで一番上となっているジュリアン・ムーアをフィーチャーした形となるのだろう。彼女は自宅でたった一人で自然分娩を試みて、キャリーを出産する。しかし、狂信的クリスチャンである自分が、男と交わり赤ん坊を出産した事に罪悪感を感じて、へその緒のつながった状態の赤子をはさみを突き刺し殺そうとする。しかし、赤子はテレキネシスで母親の行動を制止させる。

 時間は経過し、高校生に成長したキャリーを映し出す。ここからはオリジナル版に忠実な展開となる。冒頭のバレーボールは水中バレーに変換され、有名なシャワーシーンから初潮を迎えるキャリーがショックを受けて、取り乱すシーンにつながる。このシーンでは現代らしく、取り乱すキャリーをスマートフォンで撮影する生徒が現れ、この動画は後々大変な役割となる。その後の展開もほぼ忠実であるが、キャリーがテレキネシスを習得してコントロールしてゆく過程がVFXを駆使して描かれる。そして物語はキャリーの怒りが大爆発するプロムナイトでの大惨事へと発展する・・・。

 作品全体を見るとジュリアン・ムーアの怪演が光るものの、オリジナル版「キャリー」を更に若年層向けに作り直したジュニア版のような印象を受けた。そんな中、セリフで語られるテレキネシスを持ったキャリーの祖母の話や、狂信的なクリスチャンの母親をフィーチャーした「ビギニング」的な作品を見てみたい衝動にかられた。クライマックスのプロムナイトの大惨事はパワーアップしているものの、「キャリー」に影響を受けて作られた「クロニクル」(12)を見てしまうと可愛いものである。

 そんな中、新解釈が加わった。虐げられるキャリーに慈悲の手を差し伸べる同級生スーが、崩壊前のキャリーの家に上がり込み、キャリーを助けようと手を差し伸べる。その時、キャリーはスーのお腹に手をかざし「女の子よ」と、スーのお腹の胎児を言い当てる。これは深読みすると、キャリーがテレキネシスを使い、スーのお腹の子にテレキネシスパワーを与え、続編に繋がる様に仕掛けたように感じた。そして、オリジナル版で一番驚く大オチも割愛されて別解釈になってしまった事も残念である。個人的にオリジナル版が好きなだけに、ハードルが上がった状態で見てしまった事も良くなかった。唯一言えることは改めてオリジナル版が名作だった事を再認識すると共に、DVDを見直したくなる事は確かだ。

   日本語吹き替え版について
 今回見た吹き替え版は声優の藩惠子、藩めぐみ母娘がそのまま母親とキャリー役を演じている。藩惠子はテレビ放映版「キャリー」でシシー・スペイセクが演じたキャリーを演じ、藩めぐみも「モールス」吹き替え版でクロエ・グレース・モレッツの声を演じている。なかなか心憎いキャスティングである。

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