映画「親愛なるきみへ」@有楽町朝日ホール
試写会の主権はカルピスさん、後援はムービープラスさん、客入りは7~8割くらい、藤本えみりさんの前説があって映画が上映された。


映画の話
2週間だけの休暇ではあったが、故郷に帰ってきた軍人のジョン(チャニング・テイタム)は、ある日、海に落ちたバッグを拾ったことがきっかけで、その地を訪れていた大学生サヴァナ(アマンダ・セイフライド)と知り合う。ほどなく彼らは深く愛し合うが、サヴァナは大学、ジョンは任地へ戻らなければならなかった。その後、手紙で連絡を取り合っていた彼らに、アメリカ同時多発テロが起こり……。
映画の感想
物語自体はベタな恋愛ものであるが、ラッセ・ハルストレム監督作品だけに丁寧な演出に好感を持った。物語は主人公サヴァナとジョンの出会いから描かれる。サヴァナの落としたバックを海から拾い上げたジョンはお礼にバーベキューパーティーに招かれる。ここでサヴァナの友人や、サヴァナの父親がわりの男ティムが紹介されるのだが、ティムを演じるのは「E.T.」で主人公の少年エリオットを演じたヘンリー・トーマスである。すっかり大人になりひげ面で一瞬判り辛いが、あの彼らしいつりあがった目を見て判った。ティムの息子は知的障害を伴わない自閉症という設定は、ハルストレム監督「ギルバート・グレイブ」のレオナルド・ディカプリオの役と似ている。冒頭に登場するサヴァナの人間関係は後々大事なポイントとなるので言動や行動に注目してほしい。そして二人はあっという間に急接近し、恋人関係になる。
以下ネタばれ注意
時代設定は2001年。当時、世界的に携帯電話がどの位普及していたかは不明であるが、本作で恋人同士の通信手段は手紙である。その理由はジョンが特殊部隊に所属する軍人で駐屯地を転々としたいる為かと思われるが、本作は利便性の高い携帯電話ではなく、手紙という小道具が物語を牽引し、手紙の大切さを思い出させてくれる。そして、もうひとつの小道具がコインだ。少年時代のジョンと父親とを繋げるコミュニケーションツールであり、親子二人共通の趣味がコイン収集だ。コインも所々に物語に絡み膨らませる。ジョンの父親を演じるのは「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンスだ。父親とジョンは二人暮らしで、息子の留守中に父親が没頭するのがコインのコレクションを眺めることで、孤独で寂しい老人像をジェンキンスがうまく体現する。そして、もうひとつの小道具が料理だ。父親は料理が得意でラザニアやミートローフ作り来客に振舞う。この料理もうまく物語のポイントとなり、感情を表に見せない父親が息子の恋人の存在を喜び歓迎している感情表現を料理が代弁してくれている。物語は2001年に発生した9.11アメリカ同時多発テロ事件で、恋人二人の関係に変化が起こる。世界各国に駐屯しアメリカに帰れないジョンとアメリカに残るサヴァナ、ジョンと会えないサヴァナに心の変化が生じる。
しっとりと丁寧かつ繊細な演出はハルストレム監督ならではのものだろう。ハルストレム監督作品が好きな方にはとても満足度が高い作品になるだろう。主人公が軍人という事で、ハルストレム監督作品でもたぶん初となる戦闘シーンも用意され、「G.I.ジョー」でも兵隊だったチャニング・テイタムが再び軍人役として活躍する。「マンマ・ミーア!」のサマンサ・サイフリッドも歌を歌うシーンで素晴らしい歌声を披露していて、作り手が適材適所に上手くキャスティングをし、演者の良いところを引き出しているのにも好感をもった。ただ、一点だけ納得出来なかったのが、病院の父親がかなり具合が悪そうだったのに、病室から廊下にベッドが移されていたのが判らなかった。まぁ、それでも私の苦手な恋愛映画であったがハルストレム監督だけに良く出来ている。ラストの幕引きもダラダラと説明的演出ではなく、観客の想像にゆだねて「サッ」と幕を引く、私の好きな上手い幕引きで満足した。
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映画の話
2週間だけの休暇ではあったが、故郷に帰ってきた軍人のジョン(チャニング・テイタム)は、ある日、海に落ちたバッグを拾ったことがきっかけで、その地を訪れていた大学生サヴァナ(アマンダ・セイフライド)と知り合う。ほどなく彼らは深く愛し合うが、サヴァナは大学、ジョンは任地へ戻らなければならなかった。その後、手紙で連絡を取り合っていた彼らに、アメリカ同時多発テロが起こり……。
映画の感想
物語自体はベタな恋愛ものであるが、ラッセ・ハルストレム監督作品だけに丁寧な演出に好感を持った。物語は主人公サヴァナとジョンの出会いから描かれる。サヴァナの落としたバックを海から拾い上げたジョンはお礼にバーベキューパーティーに招かれる。ここでサヴァナの友人や、サヴァナの父親がわりの男ティムが紹介されるのだが、ティムを演じるのは「E.T.」で主人公の少年エリオットを演じたヘンリー・トーマスである。すっかり大人になりひげ面で一瞬判り辛いが、あの彼らしいつりあがった目を見て判った。ティムの息子は知的障害を伴わない自閉症という設定は、ハルストレム監督「ギルバート・グレイブ」のレオナルド・ディカプリオの役と似ている。冒頭に登場するサヴァナの人間関係は後々大事なポイントとなるので言動や行動に注目してほしい。そして二人はあっという間に急接近し、恋人関係になる。
以下ネタばれ注意
時代設定は2001年。当時、世界的に携帯電話がどの位普及していたかは不明であるが、本作で恋人同士の通信手段は手紙である。その理由はジョンが特殊部隊に所属する軍人で駐屯地を転々としたいる為かと思われるが、本作は利便性の高い携帯電話ではなく、手紙という小道具が物語を牽引し、手紙の大切さを思い出させてくれる。そして、もうひとつの小道具がコインだ。少年時代のジョンと父親とを繋げるコミュニケーションツールであり、親子二人共通の趣味がコイン収集だ。コインも所々に物語に絡み膨らませる。ジョンの父親を演じるのは「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンスだ。父親とジョンは二人暮らしで、息子の留守中に父親が没頭するのがコインのコレクションを眺めることで、孤独で寂しい老人像をジェンキンスがうまく体現する。そして、もうひとつの小道具が料理だ。父親は料理が得意でラザニアやミートローフ作り来客に振舞う。この料理もうまく物語のポイントとなり、感情を表に見せない父親が息子の恋人の存在を喜び歓迎している感情表現を料理が代弁してくれている。物語は2001年に発生した9.11アメリカ同時多発テロ事件で、恋人二人の関係に変化が起こる。世界各国に駐屯しアメリカに帰れないジョンとアメリカに残るサヴァナ、ジョンと会えないサヴァナに心の変化が生じる。
しっとりと丁寧かつ繊細な演出はハルストレム監督ならではのものだろう。ハルストレム監督作品が好きな方にはとても満足度が高い作品になるだろう。主人公が軍人という事で、ハルストレム監督作品でもたぶん初となる戦闘シーンも用意され、「G.I.ジョー」でも兵隊だったチャニング・テイタムが再び軍人役として活躍する。「マンマ・ミーア!」のサマンサ・サイフリッドも歌を歌うシーンで素晴らしい歌声を披露していて、作り手が適材適所に上手くキャスティングをし、演者の良いところを引き出しているのにも好感をもった。ただ、一点だけ納得出来なかったのが、病院の父親がかなり具合が悪そうだったのに、病室から廊下にベッドが移されていたのが判らなかった。まぁ、それでも私の苦手な恋愛映画であったがハルストレム監督だけに良く出来ている。ラストの幕引きもダラダラと説明的演出ではなく、観客の想像にゆだねて「サッ」と幕を引く、私の好きな上手い幕引きで満足した。
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この記事へのコメント
シャンテでの公開も、客が入っていないのか、上映回数短縮。
でも、わたしは結構気に入りましたよ。
何かピーター・チャンの「ラヴソング」みたいで。全然似てないけど!?
「ラヴソング」は未見なので機会があったら見てみます、情報ありがとうございます。