「クリード チャンプを継ぐ男」@ワーナー・ブラザース試写室

 今回、私は「yahoo!映画」ユーザーレビュアー試写会に招かれた。客入りは8~9割位だ。

   

   映画の話
 ボクシングのヘビー級チャンピオンであったアポロ・クリードの息子、アドニス・ジョンソン(マイケル・B・ジョーダン)。さまざまな伝説を残したアポロだが、彼が亡くなった後に生まれたためにアドニスはそうした偉業を知らない上に、父との思い出もなかった。それでもアドニスには、アポロから受け継いだボクシングの才能があった。そして父のライバルで親友だったロッキー(シルヴェスター・スタローン)を訪ねてトレーナーになってほしいと申し出る。

   映画の感想
 「アポロの息子」と言う着眼点の妙に加え、ファンの期待を裏切らない王道の展開は正に「ロッキー」の遺伝子を受け継いだ作品である。

 物語は無名の新人ボクサーが、老トレーナーと共にトレーニングを経て世界王者と戦う、と言う「ロッキー1」とほぼ同じ構成を踏まえながら、主人公が伝説のチャンピオンで故・アポロの愛人との間に生まれた息子と言う設定がポイントとなる。

 サラブレットでありながら、父親の愛情を知らない息子は少年院で成長した。彼の存在を知ったアポロの本妻が、保護者として彼を引き取る所から物語が動き出す。

 父親の七光りを極度に嫌い、アポロの名前をひた隠しして葛藤しながら生きてきたアドニス。彼は自分の中に流れるボクサーの血に導かれるように、豪邸暮らしを捨て、父親の盟友ロッキーが暮らすフィラデルフィアに向い、彼に自分のトレーナーになる事を懇願する。

 「クリード チャンプを継ぐ男」は、まるで「ロッキー1」を見る様な展開と熱い高揚感を導く素晴らしい演出と、キャストの演技が合わさり、本年最期の感動作に仕上がった。

   以下ネタバレ注意

 物語はアドニスを狂言回しに使い、老年となったロッキーのその後も明確に描いている。妻を亡くし、ボクサー引退後レストラン経営者へと転向したロッキー。本作では義兄ポーリーまで亡くなってしまった。彼の空虚な心を埋める様に突然現れたアドニス。しかし、衰えた体で若きボクサーを育てるパワーも失い、更に病魔まで彼の体を蝕んでいた。

 世界チャンピオンに立ち向かうアドニスと、彼をサポートしながら自分の病魔と闘うロッキー。まるでアドニスが自分のアイデンティティーと戦う様に迎える大迫力なクライマックス。シリーズを踏まえた王道な演出がボディジャブの様に効き続け、感動のラストまでその勢いが止まる事が無い。

 「ロッキー」は、ジョン・G・アビルドセンシルベスター・スタローンの二人のみが演出してきたシリーズであるが、本作を担当したライアン・クーグラーの手腕には驚くだけである。「フルートベール駅でに続き劇場作品2本目にしてベテラン監督並のクオリティを打ち出した。スポーツ映画としても、人間ドラマとして見ても極めて優秀である。

 そして、ビル・コンティのスコアをよく研究して継承した上で、現代的な力強いスコアを書いた作曲家ルートヴィッヒ・ヨーランソンが素晴らしい。寂しいピアノとホルン系の金管楽器の使い方はコンティの音楽を彷彿させるし、クライマックスの激しいスコアと「ロッキー」お馴染みのサントラを取り入れたスコアは絶品である。

 一度は完結した「ロッキー」シリーズを、こんな方法で再生させた監督のアイディアには脱帽だ。更なる続編を期待したい。 
 





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