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zoom RSS 「焼肉ドラゴン」@ニッショーホール

<<   作成日時 : 2018/04/10 19:26   >>

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 完成披露試写会。映画上映前に脚本、監督の鄭義信、出演者の真木よう子、井上真央、桜庭ななみ、大泉洋の舞台挨拶があった。客入りは満席。
   


   映画の話
 万国博覧会が催された1970(昭和45)年。高度経済成長に浮かれる時代の片隅。関西の地方都市の一角で、ちいさな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む亭主・龍吉と妻・英順は、 静花、梨花、美花の三姉妹と一人息子・時生の6人暮らし。失くした故郷、戦争で奪われた左腕…。つらい過去は決して消えないけれど“たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる――”それが龍吉のいつもの口癖だ。そして店の中は、静花の幼なじみ・哲男など騒がしい常連客たちでいつも賑わい、ささいなことで泣いたり、笑ったり。そんな何が起きても強い絆で結ばれた「焼肉ドラゴン」にも、次第に時代の波が押し寄せてくるのだった。

   映画の感想
 私は基本的にセリフやナレーションで物事を説明する作品が苦手だが、本作は正にセリフやナレーションで物語の背景や設定を説明するタイプの作品だ。本作は舞台演劇を映画化した作品であり、舞台と言う制約のある現場であれば、セリフやナレーションに頼る事は良しとするが、本作は映画と言う映像作品だ、映像で勝負する事が筋である。

 私はオリジナルとなった演劇を未見の為に比較できないが、本作は物語の起承転結で言う「起」が無い。いきなり出来上がった物語を、ナレーションやセリフで説明して理解させようとする。

 例えば、本作の場合、家族の長男・時生が語り部となり、家族の生い立ちや背景や家族関係が冒頭にナレーションで語られるが、そのナレーションを簡単なダイジェスト映像みたいな形で、映像化した方が理解度が深まり、家族に共感して判りやすいと思う。続く、哲男と梨花の役所でのエピソードもセリフだけである。とても面白そうなエピソードなのに全てセリフで説明してしまう。何とももどかしい。それと、静花の足が悪くなった学生時代の回想シーンも中途半端で、原因を明確に描かず曖昧でよく判らない。

 本作は「焼肉ドラゴン」内が物語のメイン舞台で、他にも時生の学校や、美花の働くナイトクラブ、後半の要となる川や、街の一部が出てくるが、基本的に「焼肉ドラゴン」の店内か、その店の前位で、舞台が偉く狭苦しく世界が広がらない。まるで舞台演劇をそっくり映画に置き替えた様な箱庭的な息苦しさである。そして、本作の時代背景の目玉となるはずの大阪万博の取り扱いも雑過ぎて残念である。

 物語や日韓混合キャストの演技はとても良い。しかし、それを映像で魅せるセンスを監督は申し合わせていない。脚本家上がりの監督が陥りやすいパターンであるが、小さい所に目は行き届くが、俯瞰で全体像を見ていないのだ。カット割りのテンポも悪く、ひとつひとつのエピソードをもう少し細かく削ればテンポ良く物語が進んだように思う。

 不満ばかり書いてしまったが良い所もある。国有地を不法占拠した「焼肉ドラゴン」がある、朽ち果てる寸前のバラック長屋が連なる街の風景や、「焼肉ドラゴン」の店頭の路地のセットは良く出来ていた。ただ、このシーンを引き立てるには、更に高度成長期で急発展していく大阪の風景が入ると対比となり、更にバラック長屋の悲壮感が出たと思う。

 「焼肉ドラゴン」は在日韓国人家族のドラマを濃密に描く一方、肝心の物語背景の基礎部分が不安定な為に、頭でっかちなアンバランスな出来栄えとなってしまった。これは監督のチョイスが問題であり、鄭義信は脚本に専念して、一歩引いた客観的な視点持った別のベテラン監督が演出すれば、また違ったテイストの作品になったはずだ、良い題材だけに残念である。



鄭義信戯曲集 たとえば野に咲く花のように/焼肉ドラゴン/パーマ屋スミレ
リトル・モア
鄭 義信

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