【ネタバレ】「リメンバー・ミー」@よみうりホール

 「モーニング」さんからのご招待。客入りは1階席多分満席、2階席9割位。CGアニメ作品なので、小さなお子さんから年配の方まで幅広い客層だ。日本語吹き替え版が上映された。「アナ雪」の短編は上映無し。

   


   映画の話
   過去の出来事が原因で、家族ともども音楽を禁止されている少年ミゲル。ある日、先祖が家族に会いにくるという死者の日に開催される音楽コンテストに出ることを決める。伝説的ミュージシャンであるデラクルスの霊廟に飾られたギターを手にして出場するが、それを弾いた瞬間にミゲルは死者の国に迷い込んでしまう。元の世界に戻れずに困っていると、ヘクターという謎めいたガイコツが現れ……。

   映画の感想
 本作は日本人になじみの薄い、メキシコの行事「死者の日」をテーマにしているので、いささか取っ付きづらい。日本で言えばお盆と似ているかもしれない。「死者の日」は最近で言うと007「スペクター

冒頭のシーンが正に「死者の日」をバックに大活劇が描かれたばかりだ。

   以下ネタバレ注意

 そんな他国の事はお構いなしに本作は、メキシコ生まれのミゲルと言う少年が、全ての物事をポジティブに捉えてガンガン突き進む。ミゲルは家族の掟で禁じられている音楽を秘かに秘密部屋で学び、伝説のミュージシャン「デラクルス」に憧れている。そんなミゲルだが、「死者の日」に行われる音楽コンテストに出場したいがギターが無い。そこでデラクルス記念館から勝手にギターを借りて出場しようと画策するが、ギターを手にした瞬間に「死者の国」に行ってしまう。

 まぁ、強引な展開である。私はてっきりミゲルが一度死んで「死者の国」に行くかと予想していたが、生きたまま「死者の国」に行ってしまった事に拍子抜けした。当然「死者の国」はガイコツだられけで、ミゲルの先祖もそっくりそのまま居たりと、だいぶイージーで雑な展開だ。ガイコツの中にはメキシコで有名な女性画家フリーダ・カーロ

が居たりと、メキシコ人観客が大喜びしそうな仕掛けが施してある。

 そんなガイコツだらけの「死者の国」だが、大人の観客は普通に楽しいが、子供にとっては恐怖の対象となり、客席から「こわいよ~」と小さなお子さんの声が上がる始末だ。結局、声の主のお子さんは上映途中で親に抱かれて退出してしまったようだ。

 話が逸れてしまったが、ミゲルは「死者の国」でヘクターと言う貧乏くさいガイコツ男と行動を共にして、様々な試練を乗り切り、音楽コンテストに参加して、ドサクサに紛れて憧れのデラクルスと出会い、めでたしめでたし・・・、と思ったら「実は!」と言うブラックな展開に突入する。

 この「実は!」からがピクサーの本領発揮の様に感じる。お子様向けのCGアニメ制作会社のピクサーであるが、中の人々は相当に腹黒いのだろう。本作の制作総指揮ジョン・ラセターのセクハラ問題が昨年発覚した様に、本作のデラクルスもそんなピクサーの体質から生まれた様なキャラクターである。かつて「トイ・ストーリー2」の中でもウッディ人形を盗み、高値で取引しようとしたキャラが登場した様に、大人たちの腹黒い欲望が後半に炸裂する。

 自分の地位と名誉のために相棒の作品を毒殺した上に盗作と言うお子様向けの作品ではあるまじき行為を、平然と描くピクサーの黒い欲望がブラック過ぎて実に楽しい。まぁ、そうはいっても黒い欲望の後はキッチリと感動へ持ち込む手腕もピクサー作品の力であろう。先祖をいつくしむ世界共通の精神に私も最後は涙が溢れた。

 しかし、本作を手放しでは喜べない。テーマがテーマだけにメキシコ地域限定の様な作品が、世界各国で受け入れられるか正直疑問である。その証拠にディズニーが「アナ雪」の新作短編を同時上映すると言う事は、人気作品の抱き合わせて観客動員を目論んでいる事が透けて見えてくる。「リメンバー・ミー」は、いままでのピクサー作品の様に大ヒットは厳しいかもしれない作品だ。



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