「ローグ・ワン スター・ウォーズストーリー」@TジョイPRINCE品川

 公開初日。2D吹替え版を上映するシアター6iには、学校から授業を終えて帰ってきた多数の男子小学生軍団を中心に、小さなお子さんから年配の方まで幅広い年齢層で客入りは40名弱位だ。サウンドは特にアナウンスは無かったがドルビーデジタル7.1ch上映である。

   

   映画の話
 帝国軍の誇る究極兵器デス・スターによって、銀河は混乱と恐怖にさらされていた。窃盗、暴行、書類偽造などの悪事を重ねてきたジン(フェリシティ・ジョーンズ)は反乱軍に加わり、あるミッションを下される。それはデス・スターの設計図を奪うという、困難かつ無謀なものであった。彼女を筆頭に、キャシアン(ディエゴ・ルナ)、チアルート(ドニー・イェン)、ベイズ(チアン・ウェン)、ボーティー(リズ・アーメッド)といったメンバーで極秘部隊ローグ・ワンが結成され、ミッションが始動するが……。

   映画の感想
 「スター・ウォーズEP4 新たなる希望初見時にど肝を抜いた宇宙空間に流れる、本編前の出来事を説明したオープニング・クロールで語られた、「反乱軍が帝国軍に勝利して、スパイがデス・スターの設計図入手した」というエピソードを映像化したのが、本作「ローグ・ワン」だ。

 したがって、観客は大体のあらすじは想定内で着地点も判っている。そんな物語にどのような肉付けを施し、一本の作品として仕上がげるのか期待して見た。

 結論から言うと、暗く地味な物語に華の無いキャストに感情移入も出来なく、「スター・ウォーズ」シリーズらしいユーモアを排除した展開にイマイチ乗り切れなかった。しかし、後半は予想外の戦闘機同士の空中戦アリの「スター・ウォーズ」らしい展開になり、「EP4」の頭と繋がるラスト10分は素晴らしい。そして「希望」に繋げたラストカット後のエンドロールでは感極まり涙があふれた。

   以下ネタバレ注意

 ジョージ・ルーカスは「EP4」公開時に「長い物語の中でも一番面白い所から作った」と言っていた様に、「ローグ・ワン」は「EP4」への前哨戦というのか、ブリッジ的な役割となる。その後のルーク、レイア、ハン・ソロが表部隊と考えると、本作の主人公たちは完全に裏部隊の隠密活動を描いた作品であり、本作のキャラクターたちが、一切その後のストーリーに絡んでこない事から見ても、後半の展開は「悪い予感がする」というセリフの様に、バッドエンドを迎えてしまう。

 そして「EP4」の10分前を描いたラスト10分の壮絶な描写には驚いた。私の予想では「デス・スターの設計図を手にしたレイアが皆に見送られて、オルデランに旅立つ所で終わる」と考えていたが、実際はそんなハッピーエンドの様な生易しいものではなかった。

 設計図を受信した母船がダース・ヴェイダー一派に奇襲されて、設計図が入ったディスクを兵隊たちがバトンリレーの如く手渡しで受け渡し、レイアの乗る宇宙船に届けられて、命からがら母船から宇宙艇が緊急発射して助かる、というスリリング描写に唸らされる。このシーンではダークサイドに堕ちたヴェイダーの凄まじいパワーを見せつけられて圧倒された。

 それにしてもギャレス・エドワーズ監督は扉越し演出が好きだ。彼の名前を知らしめた「GODZILLA ゴジラで、放射能が流失した施設で夫婦が扉越しで生き別れとなるシーンがあったが、本作でもラスト10分は扉越し演出が炸裂していた。

まぁ、本作を見ると改めて「EP4」の偉大さを再認識した。1977年製作時にデス・スターの設計図を、丸巻の紙の設計図にせずに、フロッピーディスクの様な形のディスクにして、そのデータは送信して傍受するという、今では当たり前の技術を40年前に描いていたからこそ、本作はそのアイディアを膨らませて、様々なシチュエーションを創作して一本の作品として成り立たせたのだ。同じようにメッセージもホログラフィを使うといった先人の優れたアイディアには頭が下がる思いだ。

 そして「スター・ウォーズ」シリーズの代名詞となるフォースの描き方も絶妙だ。「EP4」の中でハン・ソロがフォースについて「インチキな古臭い魔法」みたいな言葉を発する様に、本作にはジェダイの存在が無く、フォースが人々の信仰の様な形で受け継がれている。その信仰を今も信じている僧侶イムウェの存在が本作のポイントの様に感じた。盲目の僧侶はまるで日本の「座頭市」の様にバッタバッタとストームトルーパーをやっつける姿は痛快だ。役を演じたドニー・イェンのスーパーアクションは「スター・ウォーズ」シリーズに新たな方向性を見出したように見えた。

 本作は「EP4」に上手く繋がる様に美術デザインから、画面の隅々に映る小さなキャラクターや、タトゥーインの酒場でルークに絡むならず者ら、細かいディテールもとても良く出来ている。クライマックスの敵地に乗り込み、敵の衣装を盗み敵地に潜入するなど、「EP4」を踏まえた描写や、設計図の保管庫となる筒状のタワーの銃撃戦に加え、シリーズお馴染みの高所からの落下など、旧シリーズを彷彿させる描写は思わずニヤリとしてしまう。

 総体的に見ると良く出来ているのだが、戦闘シーンが現実の戦争や紛争をメタファーした様な、徹底したリアル思考が私には合わなかった。もう少しユーモアやファンタジックな要素が加わればパーフェクトの様に感じた。それからモフ・ターキン役のピーター・カッシングの復活は素直にびっくりした。はじめは特殊メイクした役者と思ったが、途中からCGと気づいた。お見事だ。まぁ、それでもギャレス・エドワーズは私の苦手な監督であったが本作で見直した。

   音楽について
 本作は「スター・ウォーズ」シリーズ全てを担当してきたジョン・ウィリアムスに代わり、ピクサー作品やJ・J・エイブラムス作品で手腕を発揮してきたマイケル・ジアッチーノに代わった。彼はピクサー作品の様なオリジナル作品は上手いのだが、「スター・トレック」など有名なシリーズとなると、途端にメロディーが際立たない劇伴に徹してしまう傾向が難点である。

 本作でもその悪い傾向が出てしまい、「スター・ウォーズ」シリーズならではの際立ったメロディが無く、シリーズで使わた曲をアレンジしたみたいな劇伴だった事は残念だ。もうジアッチーノは作曲家として限界かもしれない。これもまたジョン・ウィリアムスの偉大さを改めて痛感した。

 最後に「ローグ・ワン」が「スター・ウォーズ」シリーズ初のスピンオフ作品としているが、ルーカスは「イウォーク・アドベンチャー、「エンドア 魔空の妖精」は無かった事にしたいのだろうか?いくらテレビ映画と言え可哀想である。

   

   

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