「ロスト・バケーション」@109シネマズ川崎
公開2日目、日曜日の夕方。シアター5の客入りは7割位。客年齢は若い。

映画の話
休暇で秘境のビーチに来た医者のナンシー(ブレイク・ライヴリー)は、サーフィンを楽しんでいた最中に脚を負傷する。何とか近くの岩場にたどり着いたものの、ナンシーの存在に気が付いたサメが周囲を旋回していた。海岸までおよそ200メートルだが、その岩場が満潮で海面下に沈むまであと100分。危機的な状況に追い込まれたナンシーは……。
映画の感想
スピルバーグ監督「JAWS」(75)が大ヒット後、類似した動物パニック映画が大量生産されてきた。その後、CG技術の進歩により、レニー・ハーリン監督「ディープブルー」を筆答に、CGサメ映画は量産されて「メガシャーク」や、無茶苦茶な亜流映画が大繁殖してきた。
そんな中、正統的なサメ映画「ロスト・バケーションが誕生した。あまり人が訪れないビーチでサーフィン中にサメに襲われて、身動きの出来ない主人公の様をサスペンスたっぷりに描かれている。シチュエーションは丁度ワニ襲撃映画「ブラック・ウォーター」(07)
と共通する。
監督はリーアム・ニーソン主演の「アンノウン」、「フライト・ゲーム」、「ラン・オールナイト」らサスペンス映画が得意なジャウム・コレット=セラだ。
以下ネタバレ注意
幕開けは、ビーチの砂浜に漂着したヘッドマウント・アクションカメラを子供が拾うシーンからスタートする。何となく悪い予感を観客に植え付けて、時間はさかのぼり、母の思い出のビーチにナンシーが、地元民カルロスの車に乗せられてやって来るシーンとなる。このシーンでナンシーの背景や目的など物語の伏線となる情報が小気味よく示される。
注目はナンシーが使うデジタル機器が画面上にかぶさる形で映し出す描写だ。コレット=セラ監督は近年「フライト・ゲーム」、「ラン・オールナイト」でも積極的に、画面にデジタル機器の文字情報を提示してきたが、本作は更に進化して写真や腕時計までを画面に映して、映画に判りやすさと緊迫感を生み出した。
本作のポイントはそのシチュエーションだ。サメに襲われ負傷したナンシーは僅かな岩礁の上で動けぬ状況で、回りは浮かんだクジラの死骸とブイだけだ。しかし、砂浜が目の前にあり、泳げば帰れる距離なのだが、サメの襲撃の恐怖により動く事は出来ない。
更にもう一点。主人公が医者と言う事だ。サメの襲撃により太ももに大きな傷を負ったナンシーだが、医者の知識であり合わせの品々で応急手当を施し、危機的状況を打開する。
おまけにもう一点。ナンシー一人だけの孤立無援の状態を打開する為に、負傷したカモメが岩礁に一緒にいる事も話を広げ、緊迫感を強いられるドラマに、一服のユーモアも生み出している。
出演者も少ない。背景となるナンシーの家族以外は、地元のサーファー二人と酔っ払いおじさん、カルロス親子のみだ。個人の視点で物語が展開して、話を大きく広げなかった事で、集中力を拡散させない構成が上手い。
作品は王道の展開であるが、デジタル技術の進歩により作り出されたサメの質感や動きに加え、サスペンス演出と絵の見せ方と、伏線の張り方と回収も上手く、シンプルながら見応えのある作品に仕上がった。ナンシーは今後カルロス親子に一生足を向けて眠れないだろう。

映画の話
休暇で秘境のビーチに来た医者のナンシー(ブレイク・ライヴリー)は、サーフィンを楽しんでいた最中に脚を負傷する。何とか近くの岩場にたどり着いたものの、ナンシーの存在に気が付いたサメが周囲を旋回していた。海岸までおよそ200メートルだが、その岩場が満潮で海面下に沈むまであと100分。危機的な状況に追い込まれたナンシーは……。
映画の感想
スピルバーグ監督「JAWS」(75)が大ヒット後、類似した動物パニック映画が大量生産されてきた。その後、CG技術の進歩により、レニー・ハーリン監督「ディープブルー」を筆答に、CGサメ映画は量産されて「メガシャーク」や、無茶苦茶な亜流映画が大繁殖してきた。
そんな中、正統的なサメ映画「ロスト・バケーションが誕生した。あまり人が訪れないビーチでサーフィン中にサメに襲われて、身動きの出来ない主人公の様をサスペンスたっぷりに描かれている。シチュエーションは丁度ワニ襲撃映画「ブラック・ウォーター」(07)
監督はリーアム・ニーソン主演の「アンノウン」、「フライト・ゲーム」、「ラン・オールナイト」らサスペンス映画が得意なジャウム・コレット=セラだ。
以下ネタバレ注意
幕開けは、ビーチの砂浜に漂着したヘッドマウント・アクションカメラを子供が拾うシーンからスタートする。何となく悪い予感を観客に植え付けて、時間はさかのぼり、母の思い出のビーチにナンシーが、地元民カルロスの車に乗せられてやって来るシーンとなる。このシーンでナンシーの背景や目的など物語の伏線となる情報が小気味よく示される。
注目はナンシーが使うデジタル機器が画面上にかぶさる形で映し出す描写だ。コレット=セラ監督は近年「フライト・ゲーム」、「ラン・オールナイト」でも積極的に、画面にデジタル機器の文字情報を提示してきたが、本作は更に進化して写真や腕時計までを画面に映して、映画に判りやすさと緊迫感を生み出した。
本作のポイントはそのシチュエーションだ。サメに襲われ負傷したナンシーは僅かな岩礁の上で動けぬ状況で、回りは浮かんだクジラの死骸とブイだけだ。しかし、砂浜が目の前にあり、泳げば帰れる距離なのだが、サメの襲撃の恐怖により動く事は出来ない。
更にもう一点。主人公が医者と言う事だ。サメの襲撃により太ももに大きな傷を負ったナンシーだが、医者の知識であり合わせの品々で応急手当を施し、危機的状況を打開する。
おまけにもう一点。ナンシー一人だけの孤立無援の状態を打開する為に、負傷したカモメが岩礁に一緒にいる事も話を広げ、緊迫感を強いられるドラマに、一服のユーモアも生み出している。
出演者も少ない。背景となるナンシーの家族以外は、地元のサーファー二人と酔っ払いおじさん、カルロス親子のみだ。個人の視点で物語が展開して、話を大きく広げなかった事で、集中力を拡散させない構成が上手い。
作品は王道の展開であるが、デジタル技術の進歩により作り出されたサメの質感や動きに加え、サスペンス演出と絵の見せ方と、伏線の張り方と回収も上手く、シンプルながら見応えのある作品に仕上がった。ナンシーは今後カルロス親子に一生足を向けて眠れないだろう。
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