映画「エクソダス:神と王」@シネマサンシャイン平和島

 今年最初の試写会はシネマサンシャイン平和島さんから招かれた。試写会場となったシネマ7の客入りは7割位。客層は小さなお子さんから年配の方まで幅広い年齢層だ。当日は日本語吹替え3D版が上映された。

   

   映画の話
 紀元前1300年。最強の王国として名をはせるエジプトの王家に養子として迎えられて育ったモーゼ(クリスチャン・ベイル)は、兄弟同然のような固い絆で結ばれていたはずのエジプト王ラムセス(ジョエル・エドガートン)とたもとを分かつ。その裏には、苦境に立たされている40万にも及ぶヘブライの人々を救わねばならないというモーゼの信念があった。そして、彼らのための新天地「約束の地」を探し求めることに。過酷な旅を続ける一方で、彼はエジプトを相手にした戦いを余儀なくされていく。

映画の感想
 いつも通りに何も予習しないで作品に挑んだ。しかし、これが良くなかった。チラシのデザインとリドリー・スコット監督作品と言う事で、勝手に「グラディエーター」の様な史劇を予想していたが大きく間違った。

 作品は旧約聖書に登場するモーゼを題材にした有名な話だ。この題材はセシル・B・デミル監督が2度も映画化した超古典史劇「十戒と同じ話で、最近ではドリームワークスがアニメーション映画として製作した「プリンス・オブ・エジプトとも共通する。なのに配給会社の20世紀フォックスは「モーゼの物語」とは宣伝しているものの、「十戒」の事は宣伝に使っていない。まぁ、配給会社の違いがあるものの、超有名作「十戎」の題名を宣伝に使えば、シルバー層観客を集客出来たと思うと勿体ない。

   以下ネタバレ注意

 では「作品はどうだったか?」と聞かれるとかなり微妙な答えしか出せない。まず、旧約聖書を題材にした作品だけに宗教色が強く、旧約聖書のバックボーンを理解していなく、仏教徒が多い日本人には不向きな題材だ。更に主人公は偉大なるモーゼである為に感情移入がし辛い。彼の行いは神からのメッセージを受け取り、その教えに一人で葛藤しながら、大勢の人々を導くと言う崇高なプロジェクトだけに、一般人には理解できない領域である。したがって、観客は一人で悩み苦しむモーゼの姿を客観的に眺めているだけになってしまう。

 丁度そのアプローチは、昨年公開した「ノア 約束の舟とも似た展開であるが、ファンタジー寄りだった「ノア」とは違い、本作は最新技術を集結したCG映像を多用したモーゼの物語となり、真面目なモーゼの性格と相成り面白みに欠ける展開となってしまった。

 そんな中で見所は何気なく背景に写るピラミッドやスフィンクスと言った建造物などを忠実に再現した精巧な古代エジプトの風景や、エジプト軍の戦争であるが、目の肥えた観客には当たり前のシーンの連続でテンションが上がらない。かなり退屈な前半から中盤を過ぎて、やっと目の覚める様な展開が訪れる。窮地に陥ったヘブライ人とモーゼを助けるように神は、エジプト王国の民に次々と災いを与える。ワニが人を襲う衝撃的な描写に始まり、血に染まるナイル川、カエルの大群が地上に這い上がり、「エクソシスト2を彷彿させるイナゴの大群の襲来、アブによる被害、ヒョウによる被害に加え、王の子供の死ら、自然災害がつるべ落としの如くエジプト王国を襲う。この一連の描写はお子様にはショッキングなシーンが多いので注意が必要だ。

 そしてクライマックスは、新天地を求めてさまようモーゼとヘブライ人が、ラムセス王と兵隊たちに執拗に追い詰められてたどり着く場所が紅海だ。この後の展開は「十戒」でお馴染みの、海面が真っ二つに割れて道が出来るシーンだ。最近だと「「偉大なる、しゅららぽんでもそっくりなシーンがあったが、本作は「海が割れて道が出来る」と言う観客の予想をあっさりと裏切り、更に予想を上回るシーンを作り出した。このアプローチはうまい。しかし、東日本大震災を経験した日本人には酷なシーンとなった事は否めない。

 物語は新天地を求めてかなり長い期間彷徨い続けるモーゼ一行の姿でフェードアウトするが、「十戒」ではクライマックスのその後も描かれているので、興味のある方は56年版「十戒」をおすすめする。作品全体も「十戒」を超える事は無かった。作品は12年に急逝した監督の弟トニー・スコットに捧げられている。

   日本語吹き替え版について
 私の見た吹き替え版で、モーゼの妻ツッポラ役の吹替えがえらく素人めいたセリフ回しで、私の集中力を途切れさせた。そのツィポラの吹替えは女優のだった事がエンドロール後に判明した。話題作りに必死なのは判るが、重要な役に素人声優を使うのはやめて欲しい。その為に、これから鑑賞される方は字幕版+大迫力の画面を堪能する為に、なるべく大きいスクリーンで見る事をお勧めする。

   

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