映画「ホビット 決戦のゆくえ」@109シネマズ川崎

 109シネマズさん主催のIMAXデジタルシアターでの試写会だ。客入りは前3列以外満席だ。

 上映には最新の【HFR 3D】方式という、通常映像の倍速映像で上映された。丁度、この方式はソニーの液晶テレビで言う倍速映像技術【モーションフロー】と同じ原理なのだろう。通常より滑らかな動きで、映画と言うよりハイビジョン映像で収録された映像を見るようだ。

   

   映画の話
 ドワーフの王国を取り戻すべく旅をしていたホビット族のビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)やドワーフのトーリン(リチャード・アーミティッジ)らは、竜のスマウグからついに王国を奪い返す。しかし、スマウグは人々を襲い、その一方でトーリンが財宝を独り占めしようとし、ビルボがそれを止めようと危険な選択をしてしまう。そんな中、宿敵サウロンが奇襲を仕掛け、ドワーフとエルフと人間の間では対立が深まり……。

   映画の感想
 「ホビット」3部作の最終章にして、「ロード・オブ・ザ・リング」(以下「LOTR」と表記する)シリーズ最後の作品となる。物語は完全に前作「ホビット 竜に奪われた王国のラストと完全に繋がり、作りては「観客は前作を理解している」と言う前提で作品は作られているので、未見の方は注意が必要であり、鑑賞済みの方も予習した方が良い。上映時間はシリーズ最短の2時間25分だ、と言っても長尺作品である事は確かだが、体感的には2時間位にしか感じさせない作りは立派である。

   以下ネタバレ注意

 しかし手放しでは喜べない。作品はシリーズが持つファンタジー性は薄まり、戦闘シーンばかりでドラマ性も薄まってしまった。そんな戦いのさなかに描かれるのが父子の親子愛であったり、人間の金欲や、ずる賢い欲も描かれる。金の為に船から人をけり落とす強欲な男や、自分の命の為に老女に化けて生き延びようとする男に加え、ドワーフ族のトーリンまでもが財宝に目がくらみ内戦を勃発させて、敵味方が入り乱れて戦うハメになったりと、本題の指輪の力を含めて、何か現代の観客に向けて教訓めいたエピソードが含まれている。まぁ、シリーズ最終作なので、1~2作目の様に物語が自由に羽ばたく事が出来なく、前作で撒いた種を拾い集める必要もあるので、こんな形で収まったのだろう。

 2001年にスタートした「LOTR」シリーズであるが、同年に公開された「ハリー・ポッター」シリーズと共に、ファンタジー映画を牽引し、その後類似作品が沢山作られてきた。そんな訳で「LOTR」が公開されてから早13年も経ち、その間に色々なファンタジー映画を見てきた観客にとって、「ホビット」はもはや新鮮な物ではなく、見慣れたファンタジー映画の一本となってしまった事は否めない。全ての作品を監督してきたピーター・ジャクソンの演出も、相変わらずのボリューム感たっぷりのごった煮状態で緩急が乏しく感じた。

 作品は決戦に次ぐ決戦でかなりの疲労感を伴うが、その後には心地良い涙が待っている。思い入れが強かった「LOTR」とは違い、それ程思い入れが無い「ホビット」シリーズであったが、流石にビルポに情が移ったのだろう。変に盛り上げす、さりげない仲間との別れが逆に私の涙腺を緩めてしまった。不覚にも「ホビット」を見て涙してしまった。

 そしてホビット庄に帰ったビルポを待ち受ける予想外の展開にニヤリとし、月日が流れたラストに登場する晩年のビルポ(イアン・ホルム)の姿に再びニヤリとし、再び「LOTR」の振出しに戻る幕引きは「レッドドラゴンのラストと同じウィットに富んだ物である。

 エンドロールに流れるビリー・ボイドが歌う「The Last Goodbye」を聞きながら余韻に浸っていると、セカンドユニット監督にアンディ・サーキスの名前を発見した。彼はモーションキャプチャーでゴラムを演じた人物であり、推測であるがモーションキャプチャー技術を一番理解するサーキスだけに、モーションキャプチャーを使ったシーンの演出をしたと思われる。ピーター・ジャクソンからも絶大の信頼を得ているのだろう。

 ニュージーランド映画の底力を見せつけたシリーズも終焉で、出演者のオーランド・ブルームが語る様に「一つの時代が終わった」と思わせる、作家と観客が達成感を共有出来る作品となった事は確かだ。

   














The Hobbit
HarperCollins
J. R. R. Tolkien

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