映画「源氏物語 千年の謎」@有楽町朝日ホール
試写会の客入りは7割くらい。女性客9:男性客1くらいの割合で、和服姿の女性客が多数来場していた。


映画の話
平安時代、娘が帝の子を産むことを望む関白・藤原道長(東山紀之)は、紫式部(中谷美紀)にある命を下す。そこで彼女は、絶世の美男・光源氏(生田斗真)と彼を取り巻く宮中の女性たちの物語を執筆することに。やがて、源氏を愛するあまり生き霊になってしまった女性の情念と、道長への思いを秘めて執筆に打ち込む式部の心が重なり……。
映画の感想
物語が「紫式部が『源氏物語』を執筆する現実世界」と「紫式部が書いた『源氏物語』の世界」が同時進行で展開するので、「源氏物語」素人には混乱を招く作品である。私もその口で、以前吉永小百合主演の東映版「千年の恋 ひかる源氏物語」(01年)を見ているのに混乱してしまった。本作は基本的に「観客が『源氏物語』を知っている」と言う前提で作られているようで、ナレーションやテロップで「源氏物語」を補足するような工夫も無い為に、観客の「源氏物語」に対する予備知識が物を言う作品なのかもしれない。
以下ネタばれ注意
その混乱を招く、一番の要因は両方の世界に登場する安倍晴明(窪塚洋介)の存在であろう。陰陽師である晴明は現実世界では、クールに登場人物たちを客観視する人物として描かれるが、物語の世界では陰陽師らしく荒唐無稽に登場し悪霊と戦う。私も「源氏物語」に陰陽師が登場することを知らなかったので、突然VFXを駆使した特撮シーンが始まり「?」となったが、この陰陽師の存在が物語のアクセントとなり、退屈な展開が続く物語のカンフル剤となっている。
特に「物語の世界」で愛にのめり込み過ぎて生霊になってしまった六条御息所(田中麗奈)のパートは必見である。田中麗奈の特徴的な顔立ちを生かしたホラー映画さながらの描写は、ホラー映画ファンの私の心を鷲づかみされてしまった。陰陽師の窪塚洋介VS生霊の田中麗奈という、一時代を築いた青春スターがこんな形で対決するとは思ってもいなかった。田中麗奈の新しい使い方を発見しただけでも、本作は見っけ物である。彼女は今後ホラー映画で活躍して欲しい!そして、昔流行った怪談もの「四谷怪談」「牡丹燈籠」と言った作品を「今の技術でリメイクしたら面白いかも?」と思わせる位に、田中麗奈のパートは良く出来ている。
さて、いきなり感想が横道にそれたので本道に戻すと、映画の幕開けはいきなり紫式部(中谷美紀)が、藤原道長(東山紀之)にレイプされるという、ショッキングな幕開けとなるが、この描写は紫式部が道長の妾だったという噂を、現代流に解釈して描いたと思われる。まぁ、道長の行為が紫式部に「源氏物語」という恋愛小説を書く原動力になったと見ればよいのだろう。
そして紫式部が書いた物語の中に生きる光源氏(生田斗真)は、絶世の美少年で数々の女性遍歴を重ね、義母で実母に生写しな藤壺(真木よう子)とまで関係を持ってしまうという、とんでもないキャラクターであるが、光源氏を演じた生田斗真の嫌味の無い演技で、嫌らしさを感じさせない所は上手い。本作は「源氏物語」の世界観を人気スターと、豪華絢爛な衣装やセットにロケーションと、お正月のおとそ気分でぼんやりとした頭には丁度良い作品かもしれない。私のような「源氏物語」素人には、田中麗奈の生霊シーンを除いてまったく不向きな作品であった。

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映画の話
平安時代、娘が帝の子を産むことを望む関白・藤原道長(東山紀之)は、紫式部(中谷美紀)にある命を下す。そこで彼女は、絶世の美男・光源氏(生田斗真)と彼を取り巻く宮中の女性たちの物語を執筆することに。やがて、源氏を愛するあまり生き霊になってしまった女性の情念と、道長への思いを秘めて執筆に打ち込む式部の心が重なり……。
映画の感想
物語が「紫式部が『源氏物語』を執筆する現実世界」と「紫式部が書いた『源氏物語』の世界」が同時進行で展開するので、「源氏物語」素人には混乱を招く作品である。私もその口で、以前吉永小百合主演の東映版「千年の恋 ひかる源氏物語」(01年)を見ているのに混乱してしまった。本作は基本的に「観客が『源氏物語』を知っている」と言う前提で作られているようで、ナレーションやテロップで「源氏物語」を補足するような工夫も無い為に、観客の「源氏物語」に対する予備知識が物を言う作品なのかもしれない。
以下ネタばれ注意
その混乱を招く、一番の要因は両方の世界に登場する安倍晴明(窪塚洋介)の存在であろう。陰陽師である晴明は現実世界では、クールに登場人物たちを客観視する人物として描かれるが、物語の世界では陰陽師らしく荒唐無稽に登場し悪霊と戦う。私も「源氏物語」に陰陽師が登場することを知らなかったので、突然VFXを駆使した特撮シーンが始まり「?」となったが、この陰陽師の存在が物語のアクセントとなり、退屈な展開が続く物語のカンフル剤となっている。
特に「物語の世界」で愛にのめり込み過ぎて生霊になってしまった六条御息所(田中麗奈)のパートは必見である。田中麗奈の特徴的な顔立ちを生かしたホラー映画さながらの描写は、ホラー映画ファンの私の心を鷲づかみされてしまった。陰陽師の窪塚洋介VS生霊の田中麗奈という、一時代を築いた青春スターがこんな形で対決するとは思ってもいなかった。田中麗奈の新しい使い方を発見しただけでも、本作は見っけ物である。彼女は今後ホラー映画で活躍して欲しい!そして、昔流行った怪談もの「四谷怪談」「牡丹燈籠」と言った作品を「今の技術でリメイクしたら面白いかも?」と思わせる位に、田中麗奈のパートは良く出来ている。
さて、いきなり感想が横道にそれたので本道に戻すと、映画の幕開けはいきなり紫式部(中谷美紀)が、藤原道長(東山紀之)にレイプされるという、ショッキングな幕開けとなるが、この描写は紫式部が道長の妾だったという噂を、現代流に解釈して描いたと思われる。まぁ、道長の行為が紫式部に「源氏物語」という恋愛小説を書く原動力になったと見ればよいのだろう。
そして紫式部が書いた物語の中に生きる光源氏(生田斗真)は、絶世の美少年で数々の女性遍歴を重ね、義母で実母に生写しな藤壺(真木よう子)とまで関係を持ってしまうという、とんでもないキャラクターであるが、光源氏を演じた生田斗真の嫌味の無い演技で、嫌らしさを感じさせない所は上手い。本作は「源氏物語」の世界観を人気スターと、豪華絢爛な衣装やセットにロケーションと、お正月のおとそ気分でぼんやりとした頭には丁度良い作品かもしれない。私のような「源氏物語」素人には、田中麗奈の生霊シーンを除いてまったく不向きな作品であった。

映画「源氏物語 千年の謎」関連商品
この記事へのコメント
そうだねえ。。。 これって源氏を全く知らない人にはキツイかもしれないけど、逆に全然知らないからこそスペクタクルで楽しめちゃうのかも。
確かに麗奈さんの六条は面白そうですけど、あとはほとんど想像力をかきたてられません。 実際の俳優の生々しさの方が先に来ちゃいます。源氏物語の文章の風情が感じられなくて。
私は本作を見て改めて『源氏物語』の事を何にも知らないと痛感しました、って言うか、もっと一見さんでも判り易い作りだったら、楽めたかかも?です。
それでも、本文で書いたけど田中麗奈の怪演だけは素晴しいです。
まぁ、あんまりお勧めはしませんが、お正月映画として割り切れば、豪華絢爛な世界が堪能できると思います。
自ブログへのご訪問&TBありがとうございました。
コメントらんなく、失礼しておりますが、よろしくお願いします。
お返しTB&コメントありがとうございます。
こちらこそよろしくお願いします。
子リスちゃんみたいな可愛いおめめとちっちゃなお顔が、苦悩にゆがんでうつる(しかもうつる場所は仏像)様子、怖かったです。
彼女の「四谷怪談」、実現したら、夜一人で眠れないかもしれません。。。