「私の好きな松竹映画『さらば夏の光よ』」
今回はモニタプラザさんのお題の「私の好きな松竹映画」です。
その映画は1976年製作「さらば夏の光よ」です。私が10年程前に1度、地元の大井武蔵野館でスクリーンで見て虜になった作品です。
郷ひろみ、秋吉久美子出演のいわゆるアイドル映画として製作されましたが、監督が「同棲時代」「愛と誠」など松竹で多くの青春アイドル映画を撮っていた山根成之監督だけに良質な青春映画に仕上がっている。1976年という年は山根監督が一番脂の乗っていた絶頂期に演出した作品です。
遠藤周作の原作をジェームズ三木が大胆に映画用に脚色した作品は、現在の目で見ると違和感を感じるところもありますが、男二人に女一人の三角関係を描いたシンプルなストーリーに、郷ひろみ演じる南条の父親探しと異母兄弟などを盛り込み奥行きのあるストーリーに仕上がっている。
映画は[10cc/アイム・ノット・イン・ラブ」に似た梅垣達志の哀愁のメロディにのって、カップルに喧嘩を売ってカップルの男に殴られると言う南条のダメ男振りから幕を開ける。実は南条はカップルの男からお金を貰う詐欺士をしている。そのお金の目的は大学受験をする南条と同居する野呂のためだった。
南条と野呂は学費の為にファーストフード店でバイトの面接を受けるが、陰気な野呂は「客商売に向かない」と言う理由で南条だけが面接に受かる。その店で働くのが秋吉久美子演じる戸田京子だ。京子に一目ぼれする野呂。野呂の気持ちを察した南条は京子のことを思いながら身を引く。そんなある日、バイトをやめる京子がバイト先の主任から強姦未遂にあった事から三人の運命が狂い始める・・・・・。
映画の舞台となるファーストフード店は、当時開店したばかりの[ロッテリア]だ。とにかく当時の映画はラフで、客で来た映画冒頭のカップルの男と南條が店内で喧嘩をしたり、主任が閉店後の店内で退職する京子を強姦しようとしたりで、現在だったら絶対スポンサーがつかない話であるが、進出したばかりのロッテリアは太っ腹の対応をしたようだ。
そして映画の中で76年当時の街の風景が映されるが、何と言っても嬉しいのが私の地元[品川」が舞台で京急品川駅や、野呂と京子が同居する団地は今でも現存する八つ山橋の都営北品川アパートだったりで映像として残された風景が良い。
南条と野呂と京子の三角関係の話をベースに、絡んでくる南条の父親探しに出てくる仲谷昇がいい。開業医を営む藤倉の元に南条が診察に訪れ、初めて見る父親の姿を見る南条と挙動不審な南条を察する藤倉の微妙な空気間が良い。南条と腹違いの妹を演じる一氏ゆかりのことはわからないが可愛い女優だ。
当時、まだ主演作の少なかった初々しい郷の演技に対して、日活で藤田敏八監督作品で鍛えられた秋吉久美子は絶妙な演技を見せる。誰にでも共感出来る青春の一ページを切り取った映画は、アイドル映画の枠に収まらず、青春映画の秀作として現在でも十分見る価値のある作品であるが、本作は単品でDVD発売がされていない。たしかHIROMI GO DVD COLLECTION Vol.2 ~MOVIES~
で発売されているだけである。70年代の松竹映画はアイドル映画の宝庫であるだけに、ぜひ何か機会があったら単品DVDで発売して欲しいです、松竹さん!
追記 2014 6 25
映画の中で京子が暮らしている団地として撮影に使われた「都営北品川アパート」の写真
さらば、夏の光よ (講談社文庫)

この記事へのコメント
そうなんでいよ、松竹はあんなに沢山素晴らしい映像作品を残しているのに、セールスになる「寅さん」とか「松本清張」原作作品を何度もリリースしているのに、山根監督作品は黙殺しているのか、セールスに結びつかないと判断しているのかDVDの発売をしてくれません。
「約束」も素晴らしい作品ですし、西城秀樹や野口五郎の主演作品とかもリリースして欲しいですね。
映画を愛しなさい。映画は立派な文化です。芸術です。そして、山根監督の作品をDVD化して下さい。過去の映画をオン ディマンドでDVD化するなんてサービスは不可能でしょうか。
仰るとおりに松竹は目先の事ばかりで、自分たち作り出した遺産を発掘する意欲が無いみたいです。
本当にこの手のプログラムピクチャーはフィルムセンターや、今は無き大井武蔵野館みたいな劇場な所でしか見れなくなってしまったは残念です。
松竹が運営する「松竹オンライン」も名作ばかりで、われわれの満足するプログラムを流してくれません。スカパーの「衛星劇場」も韓国物を流している暇があったら自社の作品を流して欲しいところです。
「衛星劇場」も「日本映画チャンネル」も70年代の映画の放映が少ないような気がします。まあ、視聴者全員の好みに合わせるのは無理としても、放映作品が偏っているという批判は結構強いみたいですね。埋もれた名作、秀作などをDVD化したり、衛星放送で放送して映画ファンを増やそう、なんてことは映画会社の社員は考えないですかねえ。
再びコメントありがとうございます。
仰るとおりに、日本の映画会社は利益優先で自社の作品のアーカイブは考えていないのでしょう。
まぁ、そんな中に東映だけは秀作とは言えませんが「女番長」シリーズなど、70年代のプログラムピクチャーのリリースに力を入れているようです。
松竹も東映を見習って山根作品を筆頭にしたプログラムピクチャーのリリースに本腰を入れて欲しいものです。
せめてCSで放送してくれれば、70年代のプログラムピクチャーの面白さを知る人が増えるのに、そんな気は松竹にはないでしよう。
私は幸運なのか10数年位前には「名画座最後の砦『大井武蔵野館』」で多くの埋もれてしまったプログラムピクチャーに触れる事が出来ました。
山根監督、東映の石井輝男、牧口雄二監督などもっと評価されて良い監督は沢山いるのに、本当に今の日本の映画会社(特に松竹)のやる気の無さには残念です。
お久しぶりです。「さらば夏の光よ」への情報ありがとうございます。
今「シネマヴェーラ」のプログラムをネットで見ましたが、素晴らしいプログラムに驚きです。
是非、大きいスクリーンで映画を楽しんできてください。
宣伝もしてないのにあれくらいお客が入るのだから知っている人は知っている、分かっている人は分かっているのですね。次はいつ見られるのでしょうか
おぉ、それは良い体験をしましたね。
昔の映画はテレビ放送やビデオにする事を前提に作っていないので、映画館のスクリーンで見る事で映画本来の真価を発揮するものです。
そして「帰らざる日々」も良い映画です。
あの時代は「若者と言えば=永島敏行」の時代でした。
現在、永島敏行は「ゴールデンスランバー」の中で怪演しているのが記憶に新しいです。
それにしても、それだけ映画館に観客が来ているのなら、DVDを発売したら商売になりそうな感じですね。
貴重な情報ありがとうございます。
やっぱり秋吉久美子を語る上で「さらば夏の光よ」は外せない作品みたいですね。
シネパトスのサイトを見たら「さらば夏の光よ」の上映時に秋吉さんを招いてトークショーも開催するそうです。
ところで半年位前に渋谷で普通に歩いている秋吉さんを見かけました。
スポーツジムの帰りらしくスポーツウェアで普通に歩いていて逆に驚きました。
私はバイクで移動中に発見したのですが、遠くから見て直ぐに「秋吉久美子だ!」と判るくらいにオーラが出ていました。
情報ありがとうございます。
昨日「約束」無料放送したのを知らなかったです、見たかったなぁ・・。
ところで最近、同じ斉藤耕一監督の「再会」と「季節風」と言う、野口五郎主演作2本をDVD見ました。
「再会」は江波杏子の個性が強すぎて、野口五郎の良さが消されていましたが、「季節風」は五郎主演作として楽しく見れました。
斉藤耕一監督作品も特集して欲しいなぁ。
tsutayaの店員さん凄い!なかなかレンタル店の店員って映画を知らない人が多くって困ります。
私は現在、宅配レンタルで旧作邦画を探求しています。お店に置いていない作品が結構沢山あって重宝しています。
TSUTAYAさんも面白い企画を実施しているのですね。
私もレンタル店に行くと、目の前の新作にばかり手を出してしまいますが、この手の旧作がピックアップされる事はとても良いです。
松竹は相変わらず「寅さん」関係とか、白黒の古い映画は熱心にリリースしていますが、70年代作品は興味が無いみたいです。
山根監督のDVD-BOXが発売されるという噂がありますが、本当ですか? 松竹もやっと目覚めた?
え~っ、そんな凄いBOX出るんですか?
私は知らなかったです。
でも、松竹の事だから高い売値を出してくるかな?
とりあえず楽しみにしています。
今からもう、35年前、松竹映画が青春映画の佳作2本を放った。郷ひろみと秋吉久美子主演の「さらば夏の光よ」と
「突然嵐のように」がそれで、監督は山根成之、けっこうなスマッシュヒットだったと記憶する。
ヒットしたのは、郷ひろみが人気絶頂の頃ということもあるが、監督自ら言ってる通り、「単なるお子様ランチには
終わらせない」クオリティがあって、見るものの心を打つ仕上がりだったからだ。
郷ひろみの甘いLOOKSが醸し出す輝かしさと、秋吉久美子のクールビューティが内包する脆さ、儚さを
最大限に生かしつつ、若さゆえの短慮や傲慢さがもたらす濁りのようなものと
それゆえに本人及び周辺が濁っても、芯は汚れない、ヒーローとヒロインの心を鮮烈に描いていた。
さて、BeeTVの連作ドラマ映画はどうかというと、見所は、沢尻エリカさんの一人二役。(これは珍しいかと)
ストーリーはバブルガムストーリーである。上記の青春映画とまではいかなくても、ストーリー構成の甘さを
許せるアイデア、マジック(イマジナリーラインっていうんだっけ?)を入れてくれないと、
沢尻エリカさんのL役の時のアダルティさの中に秘めた思いをこめていそうな演技や、M役の時の軽いフットワークながら魅了されずにはいられないチャームがあまり印象に残らなくなってしまう。
が、なんにも考えずに、沢尻エリカさんをただ眺めていたいときは、オススメです。
レビューありがとうございます。
読ませていただきました。
これからもよろしくお願いします。