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zoom RSS 「ダンケルク」@ワーナー・ブラザース神谷町試写室

<<   作成日時 : 2017/08/30 18:40   >>

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 Fan's Voiceさん独占試写会。客入りは若干空席のある9割位、客年齢は若い、男女半々位だ。

   

   映画の話
 1940年、連合軍の兵士40万人が、ドイツ軍によってドーバー海峡に面したフランス北端の港町ダンケルクに追い詰められる。ドイツ軍の猛攻にさらされる中、トミー(フィオン・ホワイトヘッド)ら若い兵士たちは生き延びようとさまざまな策を講じる。一方のイギリスでは民間船も動員した救出作戦が始動し、民間船の船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)は息子らと一緒にダンケルクへ向かうことを決意。さらにイギリス空軍パイロットのファリア(トム・ハーディ)が、数的に不利ながらも出撃する。

   映画の感想
 ドイツ軍にダンケルクに追い詰められた連合軍の姿を陸、海、空の3つの舞台を同時進行で、英仏軍と僅かな民間人の視点で描いた意欲作だ。特筆するのは本作に敵側となる独軍の視点がない。

 私は先人が散々描いた戦争映画をノーラン監督がどの様に描くのか注目した。監督は作品に必要最低限のセリフを使い、徹底的に映像で魅せきる特殊な作風で観客で訴えかける。

 その為に各兵隊たちの感情は読み取り辛く、感情移入は難しく感じた。ただ、判る事は追いつめられた兵隊たちが、野生の勘と与えられた運を使い、右往左往しながら生き延びようとする姿が目に焼き付く。

   以下ネタバレ注意

 作品は冒頭の独軍が連合軍に投降を呼びかけるビラが舞う幻想的なカットから一転、一発の銃声から観客は登場人物と共に戦場に放り込まれて、一気に緊張状態を強いられる。

 作品はトミーの視点をメインに展開する。命からがら海岸に着いた彼が見たのは桟橋に列を作り、乗船待ちをしている大勢の兵士たちの姿だ。そこに独軍戦闘機から攻撃があり、一刻も早く船に乗船して、この窮地を乗り切るしかない。

 ここからの描写が優れている。乗船待ちの長い行列を目の当たりにしたトミーは仲間と共に、ある秘策を使い行列の先頭へ向かう。ほぼセリフを使わずキャストの動きだけで魅せきる、サイレント映画の様な斬新な演出が光る。

 そんな本作で一番怖い事は、先にも書いた通りに独軍の視点がない。通常の戦争映画であれば、味方と敵の視点を交互に交えて戦闘の全体像を見せるが、本作は独軍の視点が無い為に、見えない敵の不気味さが際立った。

 特に怖いシーンはトミー達が逃げ込んだ波打ち際に浮かぶ船のシーンだ。視点は船の内部だけで、外から独軍の兵士が銃弾を撃ち込んでくる。ここも通常であれば、外の独軍が銃撃しているシーンが入るが、本作には全くない。シンプルな演出だが船内に閉じ込められた兵隊と共に、見えない敵に観客も震え上がるしかない。

 陸、海、空の3つの視点が同時進行するドラマで一番感情移入出来るパートが、兵士たちを救出に向かう民間人親子の話だ。自らの意志で救出に出た船が最初に出くわすのが、沈没船の上で救助を待つ兵士だ。戦闘により精神を病み、今すぐにでもダンケルクから一刻も早く離れたい兵士と、ダンケルクに向かう事に使命を感じる親子との確執がとんでもない事件になってしまう。

 一方、独軍の空からの攻撃を阻止する為に、戦闘機で援護するパイロットの姿も並行して描かれる。燃料計が壊れた為に、燃料の減り具合が判らぬまま、戦闘を繰り返すパイロットの運命が感慨深い。パイロットや民間人の少年の姿を通して、大勢の救出劇と引き換えになった代償も明確に表現したシーンが戦争の本質を描いている。

 全体的に見ると、説明的な描写が無い為に、やや判り辛さも否めない。この辺は観客が事前に「ダンケルクの戦い」について予習して見ると、より一層理解度が深まると思う。本作は上映時間の短さを含めて、ノーラン監督作品が苦手な観客でもストレートに体感できる良作である。 

 本作と同じ「ダンケルクの戦い」を描いたジャン・ポール・ベルモンド主演「ダンケルク」(1964)





逆撃ダンケルク電撃戦 (中公文庫)
中央公論新社
柘植 久慶

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