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zoom RSS 「家族はつらいよ」@一ツ橋ホール

<<   作成日時 : 2016/03/05 18:55   >>

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 試写会の客入りは8割位。

   

   映画の話

 長男・幸之助(西村雅彦)の一家、次男・庄太(妻夫木聡)と3世代で同居をする平田家の主、周造(橋爪功)。妻・富子(吉行和子)の誕生日であることを忘れていたことに気付き、彼女に何か欲しいものはないかと尋ねてみると、何と離婚届を突き付けられる。思わぬ事態にぼうぜんとする中、金井家に嫁いだ長女・成子(中嶋朋子)が浪費癖のある夫・泰蔵(林家正蔵)と別れたいと泣きついてくる。追い掛けてきた成子の夫の言い訳を聞いていらついた周造は、思わず自分も離婚の危機にあることをぶちまけてしまう。


   映画の感想

 本作は昨年の「東京国際映画祭」で公開されたといえ 「母と暮せば」に続き、山田洋次監督の新作がこんな短期間で上映される事に驚きだ。松竹は「『男はつらいよ』から20年、待望の喜劇」なんてキャッチコピーで宣伝しているが、監督は「男はつらいよ」の後に、西田敏行主演の喜劇「虹をつかむ男」(96)とその続編「虹をつかむ男 南国奮斗篇」(97)の2本を監督している。もう松竹は「虹をつかむ男」シリーズを無かったことにしたいのだろうか?

 さて「家族はつらいよ」は山田監督が2013年に演出し「東京家族」で家族を演じたキャストが、そっくりそのまま再び家族を演じている。しかもタイトルは「家族はつらいよ」と言う「男はつらいよ」を自虐する様なタイトルが付けられた。もう作品の世界観を含めて山田監督も焼きが回ったとしか思えない昭和スタイルの平凡な作品を作ってしまった。

 「東京家族」や他の山田洋次監督作品をご覧になった方は判ると思うが、本作はパラレルワールドの様な世界観である。「東京家族」のキャストがそのまま家族を演じるだけではなく、小料理屋の女将かよを演じた風吹ジュンは「東京家族」と同じ役に見えるし、周造の旧友・沼田は職業こそ違うが「東京家族」にも出演した小林稔侍が演じ、作品の小道具や背景に「男はつらいよ」や、「東京家族」の大元となった小津安二郎監督「東京物語が登場する。

 物語は平田家・家長の周造と妻・富子の熟年離婚を主題にして、離婚問題に振り回される子供たちとそのパートナーの姿を描く。今回は山田監督が得意とする家族が巻き起こす喜劇と言う、普遍的なテーマをあえて選んだように感じる。

 まぁ、この手の喜劇は上手い役者が演じると素直に笑えるが、本作の橋爪功、西村雅彦、林家正蔵の演技が時々嫌味に感じるシーンがあり、素直に笑えなかった。そして、山田監督が得意とするメインキャストの後ろで背景となったキャストが無駄に動くシーンが多々見受けられたが、上手く機能しているようには見えなかった。流石に80過ぎの老人が考えた古臭いギャグシーンはもう通用しなくなってしまった事が残念だ。

 この作品の失敗は山田洋次監督の周りはイエスマンばかりで、悪い所を指摘できるブレインが居ない事が致命傷になったのだろう。仮に私が映画スタッフであっても、流石に御大にNGを突き付ける事は出来ないと思う。こういう上下関係が映画作りの限界を作り出しているのだろう。

 作品全体を見ると時代設定こそ現在であるが、私の印象は昭和40年代後半位の松竹作品の匂いを感じた。先の文で「失敗」と書いたが、一般のレベルから言えば十分合格点であろう。往年の山田洋次作品と比べてしまうと、演出に切れも無くなり老いを感じる仕上がりにファンとして失望した。唯一、良かったのは60年代風のグラフィックデザインの様な横尾忠則のタイトルデザインと、イタリア映画風の久石譲の洒落た音楽は良かった。松竹も山田監督を引退させる時期を見極める時がきている事に早く気が付いた方が良い。

 

 

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