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zoom RSS 映画「GODZILLA ゴジラ」@109シネマズ川崎

<<   作成日時 : 2014/08/03 23:49   >>

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 公開から一週間たったファーストデイの夕方。シアター4の客入りは7〜8割位、客年齢は高く男性が多い。2D字幕版を鑑賞した。



映画の話
 1999年、日本。原子力発電所で働くジョー(ブライアン・クランストン)は、突如として発生した異様な振動に危険を感じて運転停止を決意。だが、振動は激しさを増して発電所は崩壊し、一緒に働いていた妻サンドラ(ジュリエット・ビノシュ)を亡くしてしまう。それから15年後、アメリカ軍爆発物処理班の隊員である、ジョーの息子フォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、日本で暮らす父を訪ねる。原発崩壊事故の原因を調べようと侵入禁止区域に足を踏み入れた二人は、そこで思いも寄らぬ光景を目にする。

   映画の感想
 う〜ん、これは東宝作品を愛するゴジラファンが求める物とは違う方向に動いた作品だ。監督は結局自身のデビュー作モンスターズ/地峡外生命体」に「ゴジラ」をミックスして壮大に再構築した作品と言える。ゴジラ映画として見ると良い所もあるが、悪い所もあり総体的には微妙な仕上がりとなった。作品のターゲットは完全に大人に照準を定めており、お子さん連れは注意が必要だ。

 まず監督がギャレス・エドワーズに決定した時点で作品の方向性は決定した様なものだ。監督の「モンスターズ」は、主人公がモンスターの発生した危険地帯メキシコから、陸と水路を使いアメリカまでの避難を描いたフェイクドキュメント風作品だ。その過程にはモンスターからの攻撃や米軍の爆撃など命からがらの大移動となるが、製作費が無くモンスターは徹底的に見せない演出に徹しており、モンスターの行動目的に脱力した。

 そんなエドワード監督は前作の評価に味を占め、本作でも見せない演出を随所に投入する。日本人から見るとゴジラは54年「ゴジラ」から生誕60周年に当たり、ゴジラは国民的な怪獣映画だ。しかし、アメリカから見ると98年のエメリッヒ版「GODZILLA」から2度目の映画化となり、また一から仕切り直しのリブート版となり、ゴジラをなかなか見せてくれない。

   以下ネタバレ注意

 作品はタイトルを使い、54年に米軍がビキニ環礁で行った水爆実験を、記録映像や写真をコラージュしたダイジェストで流す。その映像には巨大な背びれが海上に写る意味ありげな映像であるが、この部分が作品の中で一番大事なパートだけに、ダイジェスト映像では無く、一エピソードとしてちゃんと描くべきだ。冒頭から作品の方向性に危機感を感じたが、修正される事無く作品は突き進む。

 作品は先にも書いたが良い所と悪い所が半々だ。まず悪い所から書くと、ゴジラの登場に時間を掛け過ぎだ。いくらビギニング的な内容とは言え、もったいぶる演出にストレスが溜まる。たしか東宝作品は「15〜20分に一度は怪獣を登場させる」と言うコンセプトを以前聞いた事がある。本作に至っては意表をついて、幕開けから約35分後にムートーが登場し、ゴジラに至っては幕開けから約55分後だ。これでは遅すぎる。60年もの歴史のある怪獣を今更勿体ぶる事は無いと思うのだが・・・。

 怪獣襲来の緊急事態を軍隊の視点と並行して、何も知らない一般市民の視点を交えながら描いた点は評価する。巨大生物が海から陸に上がる事で起こる津波を明確に描いた点も良い。他のゴジラ作品で描かれた事の無い津波の描写には感心する。

 続く、飛行場で始まる怪獣バトルは空港内に取り残された乗客たちを前景に、ガラス越しに怪獣をとらえたショットは秀逸だ。しかし、せっかく始まった怪獣バトルも一番いい所でカットは切り替わり主人公の自宅に移り、テレビの生中継映像の中で怪獣同士の凄いバトルが繰り広げられている。ゴジラを見に来た観客に喧嘩を売るような演出に腹立ちさえ感じる。監督の見せない演出が悪い方向に働いた一番悪い例だ。

 次に怪獣同士のバトルは生物の本能を描いている。ゴジラが対戦怪獣ムートーに噛み付く獰猛な行動が新鮮だ。平成ゴジラの特技監督を務めた川北絋一は、何かと言うと怪獣同士が組み合わない光線対決でお茶を濁していたが、本作のゴジラは原始的な本能で動いている事は良い。

 それから東宝版の多くは怪獣バトルを登場人物が安全地帯で見守るパターンが多く見られたが、本作は主人公が兵士だけに、率先して怪獣バトルの中心部に入っていく。圧巻なのは輸送機からパラシュートで兵士たちが、バトルの中心に落下する描写も秀逸だ。このシーンでは「2001年宇宙の旅」で使われた楽曲「リゲティ/レクイエム」が効果的に使われていた。多分、仮曲として映像に付けられていた楽曲がそのまま本採用となったのだろう。クライマックス以降は軍隊を中心にドラマを描いた点は良かった。

 さて、一番賛否が分かれるのがゴジラの造詣であろう。エメリッヒ版がイグアナをベースにして不評を買ったが、本作は東宝版の造形に乗っ取っている。しかし、頭が小さく力士体系で、顔はおうとつがイマイチのゴリラ顔と言う微妙な造形だ。本作の制作には日本側からもゴジラ対ヘドラ」を監督した坂野義光も参加していて、微かに期待をしていたのだが監修程度の参加だったのだろう。ムートーの造詣は「ガメラ」の対戦怪獣ギャオスの頭部に節足昆虫の手足を合体させた中々個性的な造形だ。空を飛び回るムートーはギャオス的であり、全体的な演出もどこか金子修介監督の平成版「ガメラ」3部作からの影響を感じる。

 演出と言えばスピルバーグからの影響も強く感じる。スピルバーグは災害や恐怖対象は直接描くのではなく、まずキャストの表情と視点で何かが起こっている事を観客に伝えた後に、災害や恐怖対象そのものを観客に見せる。98年版「GODZILLA」のエメリッヒもその演出を様々な作品で真似ていたが、本作のエドワーズ監督も真似しまくりだった。津波の到達は少女の視点であったり、ゴジラの上陸は芹沢博士の視点であったり、随所にスピルバーグ演出を真似ていた事が気になった。

 最終的にゴジラは「GOD ZILLA」=神の怪獣となり海へ戻っていくシーンで幕を引かれるが、個人的には手放しで喜べる作品ではない。ゴジラの出生が変更された事に加え、エドワーズ監督得意の見えない演出が足を引っ張り、東宝作品の様な怪獣バトルのカタルシスが本作には感じられなかった。私はやはり「トランスフォーマー」のマイケル・ベイや、「パシフィック・リム」のデル・トロ監督の様に「そこまでやるか!」って具合に、怪獣やロボットのバトルをとことん見せる作品の方が好きだ。続編も決定しているそうだが、次作はエドワーズ監督以外にして欲しい。

    

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