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zoom RSS 映画「続・愛と誠」@衛星劇場

<<   作成日時 : 2014/07/24 18:14   >>

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   映画の話
 青葉高校を退学となった太賀誠は、不良校として勇名な花園実業高校へ転校した。スケバンやチンピラ生徒のたむろする中を誠は無関心を装っていた。こんな誠の態度がスケバン・グループには面白くなく、一人が誠に襲いかかった。しかし誠は、反対にそのスケバンを3階の教室の窓から逆さ吊りにした。それは誠のスケバンたちに対する宣戦布吉でもあった。

   映画の感想
 まず私は「山根成之監督作品が好きだ」。松竹で山根監督が多くの青春アイドル映画を演出していた70年代。私は子供だったのでリアルタイムでは監督の作品を見ていない。そんな山根監督作品と私の出会いは、20年位前に地元で営業していた「名画座最後の砦『大井武蔵野館』」で組まれた「山根成之監督特集」の時だ。このブログの初期にレビューを書いた郷ひろみ主演「さらば夏の光よ」を始め、由美かおる主演「同棲時代 今日子と次郎」、浅田美代子主演「しあわせの一番星」などと、一緒に見たのが愛と誠」だ。

 「愛と誠」は梶原一騎原作、ながやす巧画の人気漫画を実写化した作品で74年から松竹で3本映画化された。主演は全て早乙女愛であるが、誠役は西城秀樹、南条弘二、加納竜と各回役者が交代している。監督は「愛と誠」「続・愛と誠」が山根成之、「愛と誠・完結篇」南部英夫だ。角川、東映の12年版「愛と誠」は、松竹版「愛と誠」と「続・愛と誠」をミックスした構成である。

 さて、前置きが長くなったが「続・愛と誠」だ。映画の幕開けは歌舞伎町を闊歩する悪名高き花園実業のスケバングループを映し出す。地元のやくざも一目置く彼女たちに、何も知らない会社員が通りかがりに注意すると、スケバンは掌に隠し持っていたカミソリの刃で会社員の頬を切る。何とも物騒な幕開けで、当時、歌舞伎町に行ったことが無い田舎の中高生は映画を見て震え上がった事だろう。

 こうして観客にスケバングループの怖さを観の脳裏に焼き付けた所で、花園実業に誠が転校してくる。早速、スケバングループの幹部・ガム子に目を付けられた誠は、ガム子に因縁を付けられて攻撃されるが、逆にガム子を校舎3階の窓から宙吊りにして、スケ番グループに宣戦布告を突き付ける。そんな修羅場に誠を追って花園実業に転校してきた愛がやって来る。

   以下ネタバレ注意

 「愛と誠」3部作の2作目。丁度「スター・ウォーズ」で言うと「帝国の逆襲」に近いアプローチだ。不良高校生・太賀誠の元気のよさは、冒頭のガム子を逆さ吊りと、橋の上でスケバンをこてんぱんにやっつける位で、クライマックスではスケバンたちからスペシャルリンチを受ける屈辱的な展開となる。そこで本作の主人公はと言うと多岐川裕美が演じる高原由紀だ。表向きは校庭の白樺の木にもたれてツルゲーネフ「はつ恋」を読む高原は文学少女である一方、スポーツ万能な優等生だ。しかし、その正体は花園実業を牛耳る影の大番長だ。映画と言う物は悪役が魅力的であると盛り上がる。当時東映専属で24歳の多岐川裕美を招き、高原を演じさせた松竹の大英断と、それに答えた多岐川の陰影のある演技が作品に深みを与える。 

 山根監督は劇画を映像化する事が上手い。3回反復するリピート映像や、誠と高原が最初に闘う橋のシーンでは「ここぞ」と言うシーンで背景を真っ赤に染め上げる漫画的に演出がしびれる。そして大事なセリフは別カットの文字をインサートする大胆な演出も取り入れる。誠をリンチしながら語る高原の生い立ちは、サイレント映画風のセピア映像を使い、恵まれない孤児院時代を描く。信用した男の子に高原が裏切られるあえてセリフは文字で映し、駄目押しの如く分割画面を使い高原の精神的ショックを表現する。屈折した幼少期を過ごした高原は少年院生活を経て、やくざの親分の養子となり、今の地位にまで上り詰めた。高原の独白と共に映し出される回想シーンが秀逸だ。

 クライマックス。鉄棒に縛り付けた誠をスケバンと高原が凄まじいリンチを加える、かなりハードなリンチシーンが続く。泣き叫ぶ愛を前に弱音を吐かない誠に対して、余裕をかましていた高原の焦りが見えてくる。狂ったように高原は誠にバンドで鞭打つ“バンドしぶき”と、傷口に塩を揉みこむ“波の花”攻撃を加え誠は悶絶する。そんな誠は高原にある言葉をぶつける。誠「お前は誇りを失くした」、高原「誇り?」。子供時代、誠と同じように野生の一匹オオカミだった高原は、やくざの親分の娘となり、自分の誇りを捨ててやくざの飼い犬となった彼女の選んだ人生を、誠はズバッと言葉で切り捨てたのだ。

 誇りを捨てた高原と、誇りを捨てなかった誠。丁度、高原と誠はコインの裏と表の様な関係で、お互いが自分の分身と闘っていたのだ。誠に負けた高原の選ぶ道が衝撃的である一方、彼女が最後に貫いた誇りと美意識は、多岐川の演技と相成り心打たれる。誠に対する愛の一方通行の恋愛感情も、彼に通じる訳も無く、愛を突き放した幕引きが逆に深い余韻を残す。地味ながらはまり役の南条弘二を始め、今は亡き早乙女愛の可憐さ、モロボシダンの面影が残る森次晃嗣の好演。75年当時の歌謡曲そのままの主題歌「愛と誠のある限り」や、田辺信一の哀愁おびたスコアを含め、時代の空気を封じ込めた愛おしい青春映画である。

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