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zoom RSS 映画「ザ・ホスト 美しき侵略者」@京橋テアトル試写室

<<   作成日時 : 2014/06/06 20:00   >>

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 いつもお世話になっている映画レビューサイトCOCOさんの独占試写会と思ったら、数名のプロライターさんも来場していた。客入りは満席だ。

   

   映画の話
 近未来、地球に知的生命体ソウルが襲来。彼らは人間に寄生して宿主の意識を奪い、一方逃げ延びた人類は反撃のタイミングを計りつつ潜伏していた。その中の一人であるメラニー(シアーシャ・ローナン)もソウルの餌食になってしまうが、消えるはずの意識が消えず一つの体に人類とソウルの二つの魂が宿ってしまう。

   映画の感想
 シアーシャ・ローナン主演×アンドリュー・ニコル監督の近未来SF作品と言う事で期待して見たが、原作が「トワイライト」ステファニー・メイヤー作品だけに駄目な作品だった。アメリカのティーンエイジャーを騙し続ける作家ステファニー・メイヤーは、古典作品を流用しながら独自の新解釈と恋愛要素を加えて我が物顔で作品を執筆して、何も知らないティーンの心をつかみ、作品はベストセラーとなり「トワイライト」シリーズは映画化されて大ヒットとなる。その「トワイライト」と並ぶ彼女の代表作が本作の原作「ザ・ホスト」だ。

 「トワイライト」では吸血鬼を好き勝手に解釈して、吸血鬼が真昼間に歩き回り、何年間も学校に通い続けて、人間の女性と恋愛をするという無茶苦茶な設定にしてしまった。何気に古典作品に重きを感じる私はシリーズ一作目「トワイライト〜初恋〜」を見て、その世界観に激しい拒絶反応を起こして、その後のシリーズを見るのをやめた。

 さて「ザ・ホスト」を執筆にあたりメイヤーが次に目を付けのが、ジャック・フィニィ原作「盗まれた街」だ。馴染みの無い題名であるが、小説は「ダーティー・ハリー」で知られる監督ドン・シーゲルによってボディ・スナッチャー/恐怖の町」(56)として映像化された。SF小説の古典となった「ボディ・スナッチャー」は、その後もドナルド・サザーランド主演SF/ボディ・スナッチャー」(79)、日本未公開ボディ・スナッチャーズ」(93)、ニコール・キッドマン主演「インベージョン」(07)と4度も映像化された作品だ。原作本「ザ・ホスト」が08年に出版されたと言う事は、07年公開「インベージョン」をメイヤーが見てアイディアを拝借したのだろう。

宇宙から飛来してきた不定形な寄生型生命体に人間が寄生されて、元の人間と入れ替わり侵略される「ボディ・スナッチャー」は作品毎に様々な解釈をされてきたが、「ザ・ホスト」は肉体を持たないソウルが、現存する人間の肉体に寄生して精神を乗っ取り、外見は元の人間と同じ姿であるが、中身はソウルと言う姿となり地球を侵略するというものだ。他人を乗っ取り地球を支配を目的するソウルは正に、他人のアイディアを平気で流用する盗人作家メイヤーその物の様な設定である。

 流石にこんなストーリーではSFファンにパクリと指摘されると警戒したメイヤーは、ソウルに乗っ取られたメラニーのボディに、メラニー本人の意思と、彼女の体を乗っ取ったソウル=ワンダの精神を同居させるアイディアを思いつく。しかし、これを映像化するとまた厄介な事になる。一つのボディの中に二人の人格があり脳内で二人が会話する。丁度、2人のモノローグが交互にしゃべるので、どっちの人格がしゃべっているのか混乱してくる。小説では可能な表現が、映画では観客を混乱させる原因を作ってしまった。唯一、判りやすいのはソウルに身体を乗っ取られた人間の目の瞳孔がシルバーに光り輝く事だ。

 次にメイヤーが投入するのが、彼女の得意な恋愛要素をぶち込む。ソウルに支配された地球上で、ソウルの餌食にならなかった少数の人間たちが抵抗軍となり、コロニーを作り洞穴に隠れながら生活をしている。そこにはメラニーの弟や恋人のジャレットの他に、様々な年齢の男女がいる。そこにメラニーの精神に同調したワンダが向かい合流する。メラニーの精神は恋人のジャレットに向かうが、ワンダの精神は抵抗軍メンバーのイアンへと向かい、一人の体のメラニー&ワンダは二股状態になるという、女性作家が考えそうな安い設定である。その一方、コロニーにも地球支配を目論むソウルの捜索者シーカーの魔の手が刻々と迫っていた。

 さて、盗人作家ステファニー・メイヤーの原作を映像化したのが、SF映画ガタカ」(97)でデビューしたアンドリュー・ニコルだ。「ガタカ」は“適正者”と遺伝子に欠陥のある“不適正者”に分けられた近未来を舞台に、不適正者の主人公が適正者になりすまし宇宙飛行士になるまでがスリリングに描かれる名作だ。その後、監督は「シモーヌ」(02)、「ロード・オブ・ウォー」(05)を撮り、「TIME/タイム」(11)で近未来SFに返り咲き本作となる。独自のビジュアルセンスで近未来世界を描いてきたニコル監督は、本作では既存のスーツを白ずくめにしてソウルの衣装に仕立て上げる一方、既存の車やバイクやヘリコプターを使いながら外装をミラー塗装した乗り物を投入する、カッコいいセンスを見せつける。 しかし、ニコル監督のビジュアルセンスを投じても、盗人作家メイヤーの世界観を変える事が出来なくダメダメな作品に仕上がってしまった。

 アメリカのティーンエイジャーを騙し続けるステファニー・メイヤー原作を映画化した「ザ・ホスト」は、流石に本国のプロの目は騙せなかった。アメリカの辛口映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」では、作品評価を示すトマトメーターの最高得点が100%に対して、「ザ・ホスト」はたったの8%と言う驚くべき数字を叩き出した。

   以下ネタバレ注意

 まぁ、メイヤー原作作品に誰も期待はしていないが、一点だけサプライズがある。メラニーとワンダの魂が一つの体に同居していた状態でエンディングを迎えるかと思っていたら、最後の最後にワンダに新しいボディが提供される。その新しいボディを演じているのが「ポンペイ」のヒロインを演じたエミリー・ブラウニングだ。ノンクレジットのカメオ出演らしいが、このカメオ出演には正直驚きと共に得した気分になった。駄目な作品であるが、このカメオ出演だけは唯一評価する。 

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