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zoom RSS 映画「オー!ファーザー」@ワーナー・ブラザース試写室

<<   作成日時 : 2014/05/15 23:14   >>

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 今回は映画レビューサイトCOCOさんがユーザーを招いた試写会で客入りは9割位だ。

   

   映画の話
大学教師の悟(佐野史郎)、ギャンブラーの鷹(河原雅彦)、体育教師である勲(宮川大輔)、元ホストの葵(村上淳)と父親を自称する男4人と同居する高校生の由紀夫(岡田将生)。何かと干渉してくる父親たちをわずらわしいと感じてしまう中、彼は何者かに監禁されてしまう。悟、鷹、勲、葵は、一致団結して由紀夫を救出しようとするが……。

   映画の感想
 映画と言う物は個人差があるものの“乗れる映画”“乗れない映画”がある。本作で私は後者に当たる乗れない作品になってしまった。まず、「高校生の息子一人に対して4人の父親」という、ありえない家族設定が私は全く受け付けられず、作品の導入部から物語に入り込めずにいた。

 更に主人公の高校生の息子が岡田将生だ。先ごろ公開された「偉大なるしゅららぼん」の赤学生服に続き、岡田は作品の半分位を学生服姿で登場する。89年生まれで今年25歳になる岡田将生の学ラン姿はかなり痛いものを感じる。しかも岡田演じる由紀夫は常に冷静沈着でクールな性格で全く高校生に見えない。不良相手に喧嘩しても勝ってしまうスーパー高校生だ。何か由紀夫の完璧すぎるキャラクター設定にも感情移入が出来ない。

   以下ネタバレ注意

 そして本作は都合いい偶然と多くの伏線を施したエピソードで構成されている。物語に張り巡らされた多くの伏線と偶然が最終的に収束されて、様々な事が結びつき綺麗に幕を引く気持ちよさを追求すると、本作の様なあざとく作為的な物語が完成してしまう。物にはさじ加減が重要であるが、本作は完全にさじ加減を見誤り大盛りにしてしまい、アレもコレも伏線として繋げてしまったので違和感しか残らない。細かい仕掛けを張り巡らせて収束させる事が、伊坂幸太郎原作作品の特徴なのかもしれないが、これはやり過ぎである。

 物語の描き方も由紀夫を中心にした100人の村状態と言うのか、由紀夫が行く場所場所でタイミング良く事件が起こる。その傾向が顕著なのが事件の発端となるゲームセンターのシーンだ。由紀夫がゲームセンターに行き、トイレに行けば何故か由紀夫をはさみ、二人の男が町を牛耳る裏社会のボス・富田林(柄本明)が詐欺にあった噂話を始めてしまうは、富田林と由紀夫が旧知の仲であったり、由紀夫の目の前で男のカバンがの盗まれてしまう。カバンを盗んだ男を尾行する由紀夫の乗ったバスに、何故か不良に追われた幼友達の鱒二が乗り込み尾行に失敗する。まぁ、この辺は物語の切っ掛けとなるので目をつむるが、その後も不自然な展開が続く。

 物語は2人の知事候補が争う「紅白合戦」や、由紀夫の同級生で不登校の小宮山、富田林が被害を受けた振り込め詐欺事件、雑木林で発見された死体らの仕掛けが進行しながら、由紀夫は監禁事件に巻き込まれてしまう。クライマックスは監禁された由紀夫を救う4人の父親の活躍が描かれるが、ここからは不自然な展開がさく裂する。監禁場所で連絡の取れなくなった由紀夫にメッセージを送るために、大学教授の悟(佐野史郎)がクイズ番組の回答者として出演する。いつの間に出場応募したのかは不明であるが、通常録画のクイズ番組が監禁当日は生放送で、応援に来た他の3人の父親までがテレビに出演して、由紀夫に向けて手旗信号でメッセージを送り始める(しかもスローモーション)。もう、ありえない展開に私はドン引きしてしまい、完全に映画から心が離れてしまった。

 更に由紀夫の監禁場所を携帯電話の着メロで判別する。その方法はたまたま元ホストの葵(村上淳)が以前に助けた女性が監禁場所のお隣さんで、監禁場所にしょうゆを借りに行く偽装をして判別したという無茶苦茶な種明かしには脱力した。監禁場所での犯人の数と凶器の数を電話で確認した由紀夫の父親たちが、現場に乗り込み由紀夫の救出を実行するが、ライフルを持った犯人の撃った弾は一発のみ。(「ライフルも実は・・・」と言う伏線がラストに明らかになる。)あっという間に現場を制圧して監禁場所からの脱出も、あからさまに散々前ふりした脱出方法を使い、またスローモーションで映し出す。よくも、ここまで恥ずかしい作品を製作して、堂々と公開した勇気に逆にアッパレである。製作総指揮は松竹映画で監督した「RANPO」(95)を始め、数々の話題作を製作して一時代を築いた奥山和由だ。そして製作は吉本興業、配給がワーナー・ブラザースという、松本人志監督R100」と同じ組み合わせだ。何か、この製作&配給コンビだけで地雷作品の匂いを発していたのかもしれない。

 まぁ、それにしても一夫多妻と言う言葉はよく聞くが、本作の設定は一妻多夫と取ればよいのか、4人の男性を魅了した由紀夫の母親の姿は見せず仕舞いも気に入らない。小説は読者の想像に委ねる形なので、妻の描き方はそれでOKなのかもしれないが、これは映画である。映像として表現するのが監督の腕の見せ所であろう。原作通りなのかもしれないが、何か別のアプローチは出来なかったのだろうか?

伊坂幸太郎原作作品の映像化は「アヒルと鴨のコインロッカー」、「ゴールデンスランバー」など、中村義洋監督作品で素晴らしい化学反応を起こしたが、本作の場合、読者が原作本を読み脳内で物語を映像化した方が面白い作品なのではないだろうか?何でもかんでも映像化すれば良いのではない。中村監督の様なセンス有る監督が描くと伊坂作品は輝くが、駄目な監督が描くと駄目な作品になってしまう事を露呈した典型的な作品である。

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