新・辛口映画館

アクセスカウンタ

zoom RSS 映画「ワールド・ウォーZ」@TOHOシネマズ川崎

<<   作成日時 : 2013/08/31 23:01   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

 公開から3週目の平日昼間。このシネコンで二番目に大きいスクリーン6には20名弱位の閑散とした客入りだ。3Dめがねを持参し、+¥300払い3D版を見た。

   
   映画の話
 元国連捜査官のジェリー(ブラッド・ピット)と家族の乗った車が、渋滞にはまっていた。すると、前方で爆発音が聞こえ、トレーラーが無数の車をはじき飛ばしてクラッシュし、パニック状態の群衆が通りになだれ込んでくる。そのただならぬ状態から家族を守ろうと、妻子を連れて逃げるジェリー。やがて、彼は人間を凶暴化させる未知のウイルスが猛スピードかつ世界的規模で感染拡大しているのを知る。そんな中、元国連職員の技能と知識を買われたジェリーは、各国を回ってウイルスの感染原因を突き止めるよう依頼される。

   映画の感想
 私は基本的に映画を見る前に事前情報は入れない。しかし、たまたま読んでしまった読売新聞に書かれた記事で、本作が「ゾンビ映画」という情報が入り、「ゾンビ映画」好きとしては外せない作品と判断し見た。本作を「ゾンビ映画」として見るとまぁまぁので出来であるが、構成に難があり、話のボルテージが冒頭のフィラデルフィアをピークに、どんどん尻すぼみしてしまった印象だ。

 まず、私は本作の感染者がゾンビと呼ぶべきか迷う。ゾンビ映画の元祖「ナイト・オブ・リビング・デッドジョージ・A・ロメロ監督が作り出した定義で考えると、ゾンビは一度死んだ人間が蘇り人を襲う設定であった。しかし、本作ではさっきまでピンピンとしていた人がゾンビに噛まれた事で、ウイルスに感染し早い人は12秒でゾンビになってしまうインスタントゾンビのような設定だ。ゾンビに噛まれた人のジワジワとした焦りや絶望感や恐怖が無い。さらに最近のゾンビ映画の流れに沿い、ゾンビは全速力の走りで人間を追いかけてくる性質の悪いものである。

 物語の構成は大きく分けて5つだ。街中がパニックとなるフィラデルフィアで幕を開け、元国連職員だったジェリーの素質を買われNYの海上に停泊する米軍艦隊に避難する。そしてウィルスの根源を求めて、韓国〜イスラエル〜ウィルス研究所へと舞台は移動していく。先にも書いたが本作のピークは冒頭のフィラデルフィアだ。いつもどおりに普通に暮らしていた街が、突如、感染者たちが現れ、街中がパニック状態の地獄絵図へと変貌する過程を丁寧に描いている。この時の状況設定も大事だ。主人公ジェリーはどう見ても生命力あふれる中年男子であるが、その連れに奥さんと小さな娘二人が居て、ジェリーは自分の身を守りながら、更に妻と二人の娘を守らなければいけない。映画と言うものは勇敢な主人公と共に、このような弱者が居ると盛り上がるものである。特に喘息持ちの次女が絶叫しながら逃げ惑う姿は絶品だ。

 ジェリー一家はパニック状態のフィラデルフィア街中から、他人の車を拝借して脱出に成功する。そしてスーパーで食料や薬を入手し、一軒の古びたアパートに逃げ込む。このアパートも丁度「ゾンビ」(78年)の冒頭で、ゾンビ化した住民が大挙して現れるアパートを彷彿とさせる、いい感じのアパートである。ここでヒスパニック系の家族に助けてもらうが、ゾンビの襲撃により、ヒスパニック家族は死ぬが息子のトニーが逃げてきて、ジェリー一家と行動を共にする。ここまでは新たなる名作の予感をさせるが、後の展開が良くない。ゾンビ映画は基本的に避難場所が無ければ無いほど盛り上がる。しかし、本作はニューヨーク海上に待機する米軍艦隊という安全な場所を登場させてしまう。さっきまで足手まといだった妻と娘二人と、トニー少年を米軍艦隊に残し、ジェリーは国連からの要請により、ウィルスの根源を求めて旅立つ。

 本作の失敗はキャスティングにもあるように思う。誰が生きるか?誰が死ぬのか?というサバイバル的要素を含んだ作品にブラッド・ピットのようなスーパースターが出演すれば、おのずと観客は「ブラピは死なない」という先入観が生まれてしまう。まぁ、映画はセールスなのでブラピのようなスーパースターが出演する事で、莫大なセールスに繋がる事は十分承知している。そんな訳でブラピ演じるジェリーはどんな絶体絶命的状況でも生き延びてしまう。ある意味、飛行機の墜落でも生き延びたブラピは、ゾンビより凄い生命力を観客に見せ付ける。

 物語は韓国〜イスラエル〜飛行機と見せ場の連続を続けるが、ジェリーがウィルス研究所に到着してからは急激に失速してしまう。ジェリーがゾンビ襲撃中に目撃した、ゾンビが襲わない人間が居ることに基づき、「あるウィルスに感染した者は襲われない」という現象にたどり着き、研究所でウィルス探しが始まる。いままであれだけ攻撃的なゾンビであったが、研究所を支配するゾンビたちはロメロが描くゾンビと似たノロノロ動きのゾンビとなる。まぁ、これは研究所で隔離状態のゾンビで、いわゆる休眠状態のゾンビだ。そこにウィルスが保存してある研究所別館までジェリーたちが侵入し、ウィルスを持ち帰るという地味な展開が描かれる。

 以下ネタばれ注意。ロメロ版「ゾンビ」(78年)の結末にも触れています。

 結末は主人公がブラピというネタばれ状態のまんま、一か八かの行き当たりばったりのような、イージーな結末に落胆する。ここはロメロ版「ゾンビ」のように、主人公がゾンビになってしまう位の絶望感で観客を突き放して欲しかった。ゾンビ映画にハッピーエンドは似合わない。とことんまで観客をどん底に落とし込む方が、観客は逆に意表つかれた快感を味わえるはずだ。何か間違った方向にベクトルが動いたままの残念な幕引きであるが、「大衆向けゾンビ映画」として見れば無難な仕上がりである。ディープなゾンビが見たい方はロメロ版「ゾンビ」か、ザック・スナイダーが監督した「ゾンビ」のリメイク版「ドーン・オブ・ザ・デッドをお勧めする。

 映画「ワールド・ウォーZ」関連商品
 

 

 

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
ワールド・ウォーZ
2013年8月24日(土) 16:50〜 TOHOシネマズ日劇1 料金:1300円(割引+3D料金メガネあり) パンフレット:未確認 進撃のゾンビ 『ワールド・ウォーZ』公式サイト 作戦は、ブラッド・ピットの1つだけだったのか?アメリカ以外の国は何をしていたのか? ブラッド・ピットを見捨てた軍人たちは、どこに行ったのだ? 死亡すれすれのウィルスを持つ人間はゾンビに無視されるとの仮説にどのようにたどり着いたのだ?俺は、坊主頭またはハゲがキーなのかと思ったぞ。 WHOの施設は、アイルランドだ... ...続きを見る
ダイターンクラッシュ!!
2013/09/03 23:37

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
映画「ワールド・ウォーZ」@TOHOシネマズ川崎 新・辛口映画館/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる