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zoom RSS 映画「少年H」@東宝本社11階第一試写室

<<   作成日時 : 2013/08/08 14:39   >>

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 Yahoo!映画ユーザーレビュアーを招いた試写会だ。客入りは9割くらい。今回は映写機の不調なのか、上映中の画面に常時2〜3、多いときには7〜8本の赤、緑の縦線が出続ける悪環境で鑑賞した。同時に開催された第二試写室は綺麗な画面で上映されたそうだ。私も数多くのDLP上映を見てきたが、こんなトラブル映像は初めてである。

   
   映画の話
 昭和初期の神戸。洋服仕立て職人の父・盛夫(水谷豊)とキリスト教徒の母・敏子(伊藤蘭)の間に生まれた肇(吉岡竜輝)は、胸にイニシャル「H」が入ったセーターを着ていることからエッチというあだ名が付いていた。好奇心旺盛で曲がったことが嫌いな肇だったが、オペラ音楽について指南してくれた近所の青年が特別高等警察に逮捕されるなど、第2次世界大戦の開戦を機にその生活は暗い影を帯びていく。やがて、彼は盛夫に対するスパイ容疑、学校で行われる軍事教練、妹の疎開といった出来事に直面し……。

   映画の感想
 太平洋戦争時の庶民の暮らしを少年の視点で描いた作品だ。ポスターのイメージから、私が勝手に想像していた楽しいイメージとは程遠い辛らつな作品であり、この時代を生きた人々の大変さが良く現れた作品である。ただ、本作の主人公家族がキリスト教信者という事で、数多く作られてきた太平洋戦争を背景にした作品とは、やや思想が違い冷静沈着過ぎる主人公の父母に違和感を抱いてしまった。

 物語はまだ平和な神戸で暮らす庶民の生活を描きながら、主人公の妹尾肇=少年Hを中心に、その父母、妹の好子や、学校の友人や、近所の人たちのエピソードが描かれるが、観客はある程度、当時の暮らしのルールや禁止事項を理解していないと判らない部分が多々あり、もう少し説明的描写があっても良いように感じた。特に肇が足しげく通ううどん屋の兄ちゃん(小栗旬)のエピソードは、何だか判らないまま大変な事になり、投げっぱなしでエピソードが収束してしまったように感じる。この辺はもう少し丁寧に描けば、物語に深みが出たはずなのだが、どうも本作は少年視点の為に深入りしてくれない。同じようにオトコ姉ちゃん(早乙女太一)のエピソードもサラリと描いてしまった為に深みが無い。と言うか、本作は原作の持ち味なのか、全体的に物語の表面だけを描き、深入りしない淡白な作風に終始してしまった事がもどかしい。

 物語は肇の成長に合わせて小学生で始まり、後半は軍事教育真っ盛りの中学生へと移り、新たな登場人物が現れる。肇は校門をくぐると軍国主義丸出しの教師(団長安田)に殴られ、これまた軍国主義の田森教官(原田泰造)に目を付けられてボコボコに殴られる。物語には対照的に肇を理解する久門教官(佐々木蔵之介)が現れ、彼を擁護して助けてくれる。中学で徹底的に軍事教育を叩き込まれる肇。しかし、いざ終戦を迎え民主主義に変わった後の二人の教官の姿は、戦中と戦後の人間の変わり様を上手く描いたシーンであり、その光景に虚無感を覚える肇の行動と心理を降旗康男監督は上手く描いた。

 本作の一番の話題は水谷豊伊藤蘭夫妻が役の上でも夫婦役を演じる事であるが、二人は主人公の両親役であり、あくまでも肇をサポートする立場の役だけに、水谷豊が大活躍をする「相棒」シリーズのノリを期待すると肩透かしを食らうかもしれない。先にも書いたが、本作は少年の視点で描かれる作品だけに、全体的に掘り下げが浅く、やや物足りない作品になってしまった。いい題材だけにもう一歩踏み込めば、大人も満足する作品に成りえたと思えるだけに残念である。

 
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少年H
公式サイト。妹尾河童原作、降旗康男監督、水谷豊、伊藤蘭、吉岡竜輝、花田優里音、小栗旬、早乙女太一、原田泰造、佐々木蔵之介、國村隼、岸部一徳、濱田岳。戦時中の銃後の庶民 ... ...続きを見る
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