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zoom RSS 映画「人生の特等席」@一ツ橋ホール

<<   作成日時 : 2012/11/18 14:29   >>

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 試写会の主権は講談社さんだ、客入りは8割くらい、一橋ホールの映写機は2台共相変わらずピンぼけである。
   

   映画の話
 ガス(クリント・イーストウッド)は長年大リーグの名スカウトとして腕を振るってきたが、ここのところ年のせいで視力が弱ってきていた。それでもまったく引退する素振りを見せない彼に、チームは疑いの目を向ける。窮地に陥った父親に救いの手を差し伸べたのは、あまり関係が良好とはいえない娘のミッキー(エイミー・アダムス)だった。

   映画の感想
 師匠クリント・イーストウッドが弟子ロバート・ロレンツに向けて監督デビューの花道を作り、弟子が役者である師匠に最後の花道を作った作品である。ロレンツ監督のデビュー作は手堅くソツのない演出であるが、メジャーリーグを題材にしているだけに、私のように野球に興味が無い観客には、セリフに登場する小ネタが楽しめず、部分的に置いてきぼりを食うのが難点のように感じた。

   以下ネタバレ注意

 幕開けは、ガス役のイーストウッドの放尿シーンに始まり、リビングの家具につまづき一人大暴れという老いを全面に押し出したシーンから作品の方向性を示唆する。たまたまだが今年は御年82歳のイーストウッドと、81歳の高倉健主演作がほぼ同時期に公開される。2人は同時期にアクション俳優として黄金期を通過して、年を取りドラマ俳優とシフトチェンジをして、現在に至る大スターである。そんな銀幕のスターも人生のゴールが見えてきて出演した作品は、片や老いを全面に出した本作と、老いを隠し通した高倉健「あなたへ」と、銀幕の大スターが主演した対照的な2本をついつい比較して見てしまう。

 物語の主題は年を取り引退が視野に入ってきた主人公の姿と、長年の確執で疎遠となった父と娘との親子の絆の再生である。その背景にはメジャーリーグと、娘の幼少期に起こった事件が絡んでくる。まぁ、これだけでもドラマは完成しそうだが、作家は2人をつなぐ人物として、かつてガスがスカウトした野球選手で、今はガスと同じスカウトマンをしているジョニー(ジャスティン・ティバーレイク)を投入して娘との恋愛話を絡める。さすがに作家も、老人となったイーストウッドの恋愛話は無理と判断したのだろう。

 物語は自分の体に染み込んだ経験と感だけで選手の良し悪しを判断する老スカウトマンが主人公だけに、どこかアナログ的な作風で、近年のシリアス路線が続いたイーストウッド主演作の中では緩めの作品で、どこか80年の「ブロンコ・ビリー」位の肩の力を抜いた作風に感じた。物語の中心にはもちろんガス役のイーストウッドが鎮座するのだが、ロレンツ監督は2人の若い俳優エイミー・アダムスとジャスティン・ティンバーレイクに興味が有るように感じた。何故かイーストウッド抜きの二人だけのシーンは活き活きとして画面から勢いを感じる。

 物語は全てのスカウトマンが注目する凄腕バッターのボーをスカウトするか否かとなり、アナログ的な手法で判断するガスと、選手も見ずにデータだけでデジタル的に判断するサンダーソン(マシュー・リラード)の対比を描く。そのドラマの過程にはガスとミッキーの確執の原因となった事件が明らかになる。最終的にはガスの目となりサポートしてきたミッキーの活躍で隠し玉をスカウトして金星をつかむ展開となる。このガスとミッキーの師弟関係は、そのままイーストウッドとロレンツ監督を見るようである。

 本作は作品自体は普通であるがラストが秀逸だ。物語の中心に鎮座していたイーストウッドが最後には、若い二人の俳優に席を譲り、一人歩いて去ってゆく・・・。何ともないエンディングであるが、カメラはイーストウッドの歩き去る後ろ姿を捉える。高倉健主演「あなたへ」もそうだったが、何かイーストウッドの役者人生の最後をフィルムに収めたようなラストショットで、一人の映画ファンとして感慨深い思いに浸ってしまった。

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