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zoom RSS 映画「おおかみこどもの雨と雪」@TOHOシネマズ川崎

<<   作成日時 : 2012/07/16 23:00   >>

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 TOHOシネマズさん主催の試写会でほぼ満席、アニメ作品という事で小さなお子さんから大人まで幅広い客層だ。

   

 映画の話
 19歳の大学生花は、あるときおおかみおとこと運命的な恋に落ち、やがて雪と雨という姉弟が誕生する。彼らは、人間とおおかみの両方の血を引くおおかみこどもとしてこの世に生まれたのだが、そのことは誰にも知られてはならなかった。人目を忍びながらも家族四人で仲良く都会の一角で暮らしていたが、ある日、一家を不幸が襲い……。

 映画の感想
 人間の女性とおおかみおとこが愛し合い、二人の子供が生まれ成長する物語を13年間という長い月日を描いた作品だ。まず、おおかみおとこという滑稽な設定を観客に納得させる必要があり、そこが本作の要になると思う。しかし、本作は一番大事な雨と雪の父親の生い立ちをセリフでさらりと語り割愛してしまった、これではダメである。

 父親がこの歳になるまでおおかみおとことして、どの様な葛藤や苦しみを乗り越えて現在がある事を、ちゃんと映像として描くのは最低限のルールだ。日本映画で狼男を描いた作品は少なく、東宝が73年に製作した「狼の紋章は、基礎の部分がしっかりと描かれていたので荒唐無稽な物語を納得して見る事ができたが、本作は基礎となる土台が非常に曖昧なグラグラ状態で、恋愛ドラマとして語ってしまうので感情移入できない。これでは吸血鬼のルールを無視してチャラい恋愛ドラマとして描いた「トワイライトシリーズと同じ様なチャラい新種の狼男映画になってしまう。狼男の設定だけを流用し、狼男になってしまった男の苦しみをちゃんと描かなければ観客として納得できない。監督はもう一度ユニバーサル映画版「狼男」(41年)を見て反省すべきである。

 狼男といえば「満月」であるが、本作にはそれも無い。最低限、先人の作ったルールは継承すべきだと私は思う。「満月」を物語に盛り込ませれば、もっと話をスリリングに描けたと思うのだが、本作はややこしいルールは無視して、都合良い新ルールを作り上げ、雨と雪は自由自在におおかみこどもに変身してしまう。新ルールに基づき変身する雨と雪だが、唯一雪が怒って同級生を傷つけてしまう姿が描かれるのだが、この辺の解釈は正統的な描写で良い。

   (以下ネタバレ注意)

 まぁ、それにしてもアバウトな描写には閉口してしまう。物語前半、雪の具合が悪くなり、小児科に行くか、動物病院に行くか花が病院の前で迷っていると、何もなかったように雪が回復してしまったり、物語後半、嵐が村を襲い学校の生徒たちは親が迎えに来て帰宅するが、親が迎えに来なかった雪と同級生のランドセルが体育館に残されているのに、誰も疑問を感じずスルーされてしまう。監督は並行しておおかみおとこして自然の中で暮らす事を決めた雨の方に重点を置きすぎて、雪の顛末は投げっぱなしで収束させてしまう。

 私は細田監督作品は「時をかける少女」のみを見たが、監督は与えられた題材を料理するのが得意な監督なのだろう。自分が考え出した題材では第三者のアイディアが入り込まず、自己満足のような作品になってしまう。本作は正にそんなパターンの映画だったと思う。本作を見て一番驚いたのは菅原文太がアニメキャラでそのまま登場したことぐらいだ。「時をかける少女」、「サマーウォーズ」と大ヒット作品が2本続いた後の本作は、私生活で子供が生まれた監督の私情を色濃く反映した監督自身へのご褒美映画なのだろう。

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タイトル (本文) ブログ名/日時
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※小説「おおかみこどもの雨と雪」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。 ...続きを見る
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2012/10/06 09:30
おおかみこどもの雨と雪
私は、この子たちと生きていく。 ...続きを見る
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2013/02/23 01:19
おおかみこどもの雨と雪
【あらすじ】 人間の姿をしていながらもおおかみおとこという正体を持つ男(声:大沢たかお)と出会った大学生の花(声:宮崎あおい)。二人は惹かれあい、やがて子どもを授かる。姉の雪と弟の雨は、人間とおおかみのふたつの顔を持つ、おおかみこどもだった。都会の片隅... ...続きを見る
タケヤと愉快な仲間達
2013/02/24 21:19
おおかみこどもの雨と雪
子の成長を見守る母という存在にはぐっとくるものがあった。出産、子育てといった過程を過ごした人にはもっと心に響くものがあると思うのですが、独身未婚の私では、そこまで深くは感じ取れなかったというのが実際のところ。 性格が異なる雨と雪、二人の子供たちがそれぞれ「おおかみ」「人間」のどちらを選ぶのかというのも見どころではあるのでしょうが、それを温かく見守る母の花の存在がやはり大きい。 子供達の自我が芽生え始めていく頃、内気だった雨におおかみらしさが現れてくる。ラストでは母親の元を離れていく雨... ...続きを見る
いやいやえん
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2015/01/04 01:33

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
監督自身へのご褒美映画とは言い過ぎでしょう。サマーウォーズも観てないのに、観ても観なくても批判するかもですが。父親の生い立ちまで描かったのは正解でしょう。テーマがぶれますし、尺が足りません。
通りすがり
2012/07/22 14:25
通りすがりさんへ

本作は細田監督の原案、脚本に、ご自身が設立した「スタジオ地図」の第一回作品です。
日本映画でここまで贅沢自由に作品を作れる作家は数える程しかいません。
監督自身も「『子育て』と『動物もの』が撮りたいというアイディアから本作が生まれた」
とTVインタビューで答えていました。

2本の大ヒット作から作家として自由に表現できるようになった証が本作です。
確かに「ご褒美映画」は言い過ぎかもしれませんが、ヒットメイカーに批判はつきものです。

それから「父親の生い立ち」はセリフで言っていたことをを回想という形で描けば2分前後で描けたはずです。
ブログの中にも書きましたが『狼の紋章』はオープニングタイトル部分で主人公の生い立ちが映像だけで描かれています。この辺は作家のセンスなのですが、決して「父親の生い立ち」を描いたことで作品はブレません。
「父親の生い立ち」を描いたことで、作品がブレる様なら作家として力が無い証となるでしょう。
masala
2012/07/22 14:36

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