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zoom RSS 映画「きっとここが帰る場所」@ヒューマントラストシネマ有楽町

<<   作成日時 : 2012/07/16 17:44   >>

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 J-WAVE「rendez-vous」さん主催の試写会、客席は満席だ。映画上映前に番組DJレイチェル・チャンさんのナビゲート音声が流れる。映画の内容に触れない粋なナビゲーションである。



 映画の話
 元ロックスターのシャイアン(ショーン・ペン)は引きこもり生活を送っていたある日、故郷アメリカから30年も疎遠だった父親が危篤(きとく)だという知らせが届く。飛行機が苦手な彼は船でニューヨークへ向かうが、臨終には間に合わなかった。そして、かつて強制収容所にいた父が元ナチス親衛隊員の男を捜していたことを知ると、シャイアンは父の代わりに男を捜す旅に出る。

 映画の感想
 高圧的な俺様キャラを演じてきたショーン・ペンが、まさかの顔白塗り、黒いアイシャドウに真っ赤な口紅姿の引きこもりロックミュージャンを演じていて驚く。チラシにの写真に写っている人物が見た瞬間ペンとは気づかない位に化けた姿で登場し、物語冒頭はかなり面喰らう。作品の元ネタとなったのはトーキング・ヘッズの楽曲「THIS MUST BE THE PLACE」だそうだ。

 物語前半はイギリス、ダブリンを舞台に淡々と主人公の日常が描かれる。日常と言っても「これ!」と言った刺激のあるものではなく、毎日近所の巨大ショッピングセンターに愛用のショッピングカートを引きずって出向き、彼のファンの娘とお茶をして買い物をするくらいだ。しかし、ショッピングセンターに行くと皆シャイアンの事を知っている様子で、ちょっとした街の有名人である事がわかる。

   以下ネタバレ注意

 シャイアンは現在歌手を引退状態で妻とプール付きの豪邸で暮らしている。彼は大量の持ち株で相当儲けているみたいだ。謎だらけのシャイアンの素性は徐々に明らかになる。人気歌手時代に金儲けり為に書いた楽曲が原因で自殺者を出してしまい、その事が原因で彼は歌手を引退して引きこもりになってしまったらしい。

 そんなシャイアンの元に30年以上合うのを避けてきた父親の「危篤」の知らせが届く。飛行機を嫌いで船でニューヨークに向かったシャイアンであったが臨終には間に合わなかった。映画の舞台はイギリスからアメリカへと移り、父の遺体の腕に残されたアウシュビッツの刻印を見たシャイアンは心の中に変化をもたらすと共に、父が元ナチスを探していた事を知る。

 淡々とした物語はここから息を吹き返す。彼は父を苦しめたナチスへの復讐心が芽生え、ある一人の元ナチスの消息を求め、ナチハンターと化し、ショッピングカートを旅行用キャリーカートへ持ち替えアメリカ中を旅するロードムービーへと変貌する。ナチハンターのスイッチが入ったシャイアンは、驚くべき行動力と情報収集力を駆使して元ナチスへと迫る。

 スパイ顔負けの行動力で元ナチスの家族を探り当て、ちょっとした手がかりを頼りに元ナチスのもとにたどり着くシャイアンは途中、殺傷能力の高い拳銃を購入し、かなりヤバイ精神状態になっていると冷や冷やしながら迎えるクライマックスであるが、シャイアンは観客の想像とはまるで違う方法で元ナチスに報復する。この描写はアウシュビッツ収容所を知らない観客にはピンと来ないかもしれないが、S・スピルバーグ監督「シンドラーのリストを見ると理解出来ると思う。

 どこか80年代ロードムービーを思わせる作風の本作は、ロードムービーの傑作ヴィム・ヴェンダース監督「パリ、テキサスに出演したハリー・ディーン・スタントンがオマージュのような形で登場する。主人公の満たされない心を自宅の空っぽのプールに表現され、物語後半、彼の心の変化を表すように元ナチスの孫娘にプールを買い与え、水の貼られたプールに喜ぶひ孫の男児の姿が、シャイアンがラストに元ナチス下す決断を暗示していたように思う。

 かなり異色な作りで好き嫌いがはっきりと分かれる作品である事は承知するが、ラストに貫き通したロッカースタイルをかなぐり捨て愛用のカートも持たず、突然何時も通りのショーン・ペンの姿に戻ってしまったのは難点に感じた。いくらアメリカの旅を通して人間的成長をしたからといっても変身し過ぎだ。最後の最後に私の心が引いてしまったのが残念である。

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