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zoom RSS 映画「プレイ 獲物」@シネマート六本木

<<   作成日時 : 2012/06/08 17:08   >>

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 映画レビューサイトCOCOさんがユーザーを招いた独占試写会だ。会場となった89席のシアター2には空席の目立つ6〜7割くらいの客入りだ。

   

   映画の話
   銀行強盗の罪で刑務所にいるフランク(アルベール・デュポンテル)は、先に出所した同房者モレル(ステファーヌ・デバク)に愛する妻子の保護を依頼する。しかし、モレルは若い女性ばかりを狙う猟奇殺人犯だったことが判明し、フランクは家族を守るため脱獄。必死にモレルの行方を追うフランクだったが、モレルが犯した罪まで着せられ、連続殺人鬼の脱獄犯として追われる身になってしまい……。

   映画の感想
   愛する妻と娘を守る為に刑務所を脱獄する強盗犯と、彼と同房で冤罪を勝ち取り出所したシリアルキラーの戦いをスリリングに描いたフレンチアクションだ。出演者はほぼ日本では無名の役者ばかりであるが見ごたえ十分だ。本作のテーマはズバリ“欺く”であろう。

   以下ネタばれ注意

 映画の幕開けは、いきなり男女のSEXシーンなのだが、実は刑務所内の個室で面会に来た妻と主人公フランクが刑務官の計らいで愛の営みを行っていた、と言うシーンから観客の固定概念を欺く。フランス刑務所の事は知らないが、「こんな個室があるのだろうか?」と考えている内に、物語はテンポ良く進む。銀行強盗犯フランクは奪った大金をシャバのどこかに隠していて、刑務所内の囚人たちはその金を狙っている設定なのだが、ちょっと判り辛い。フランクと同房者モレルは少女を狙う性犯罪者として収監され留置所内に引きこもっている。そんなモレルを屈強な囚人3人組が犯そうとするが、フランクが助けた事でお互いの信頼関係が生まれる。

 そして欺く演出が再び登場する。カメラは室内楽リサイタルを映し出す。しかしカメラが観客席を写すと男の囚人ばかりの刑務所内慰問リサイタルというシーンに、てっきり外の世界を描いていると思って見ていた私は、再び「やられた!」と監督の術中にはまりまくりである。慰問のはずのリサイタルは暴力的な囚人たちのせいで滅茶苦茶になり、他の囚人に襲われたフランクも大怪我をして数日間意識不明となる。その間に同房モレルは冤罪が確定し、一足お先に刑務所を出所する事になっていた。大金目当ての悪人たちに狙われているフランクはシャバの妻と娘の身を案じて、出所するモレルを信頼して妻と娘を守ってくれるように頼む。しかし数日後、出所したモレルが巷を騒がしていたシリアルキラーだったことが判明する。主人公フランク自身もモレルに欺かれていたのだ。

 妻と娘が心配で、いてもたってもいられないフランクにチャンスが訪れる。悪党囚人3人組がフランク目当ての暴行を仕掛けてくる。しかし、フランクは逆に反撃をして3人組を倒し、どさくさに紛れて刑務所を脱走する。ここから作品は閉鎖的な室内劇から一気に、屋外を舞台に逃亡アクションが連続する。モレルを追うのは凄腕女刑事クレールを中心とした警察だ。壮絶な追跡劇は人間の身体能力を極限まで引き出したリアルの物で、それをフランクを演じた役者がほぼノースタントで演じている(と思われる)のだからビックリである。走る列車の天井に飛び乗ったり、アパートからガラスをぶち破って落下したり「凄い!」の一言である。逃げる男の執念を感じさせる役者の演技と演出が見事に融合した逃亡劇は天晴れである。

 物語は並行して、シャバに解き放たれたモレルの犯罪を描き出す。モレルは基本的に妻を共犯にして犯罪を行う。子供を欲しがっていた妻にはフランクの娘アメリを誘拐してあてがっている。これで立派な共犯者となった妻は、モレルの忠実なしもべとなり犯罪に加担する。モレルが物色するのはスーパーの店内で買い物をする少女だ。商品の場所を聞き近寄るが、少女の母親に遮られ失敗に終わる。しかし、再び街で同じ少女を発見したモレルは、道を尋ねるふりをして「案内して欲しい」と車に誘い込み、妻と共犯し拉致するが、逃げられて殺してしまう。少女を追いかける途中にも、モレルを注意した老人を殺す残虐ぶりを露呈する。モレルのエピソードは大ヒットした「羊たちの沈黙」以降に量産された猟奇犯罪モノと同じテイストである。モレルの犯罪現場には刑務所内で手に入れたフランクの髪の毛を残し、猟奇犯罪犯も脱獄中のフランクの犯罪に見せかけ欺く。

 シャバから解き放たれたシリアルキラーと、家族の為に刑務所を脱獄した強盗犯、そして二人を追う女刑事クレール、バラバラだった三者が最終的に一つの地点に集まり大団円を迎える。人々を欺き続けたシリアルキラーのモレル、犯罪者であるが、いつの間にか応援していた強盗犯フランクは観客を良い形で欺く。有名な俳優は出ていない分、逆に演じる俳優がどんなキャラクターなのかも判らない状態が本作の場合上手く作用した。監督はJホラー「着信アリ」のアメリカリメイク版「ワン・ミス・コールエリック・ヴァレットだ。無駄の無い畳み掛けるスピーディーな演出と、サスペンスを上手く融合させた演出が上手い。フレンチアクションの勢いを感じる作品である。

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『プレイ -獲物-』 2012年5月31日 シネマート六本木
『プレイ -獲物-』 を試写会で鑑賞しました。 ...続きを見る
気ままな映画生活(適当なコメントですが、...
2012/06/10 11:48
プレイ―獲物―
「ハリウッドをぶっとばせ!」とばかりに、フランスからやってきた、クライム&サスペンス作品。正にノンストップで目が離せず、常に緊張を強いられる展開。ひと昔前までは、フランスのこういう系の作品は、ちょっと火曜サスペンス劇場の匂いを漂わせていたものだが、南フランスの田舎町に移動する旅ものの気配にその残り香はするものの、いやどうしてどうして。10年前とはだいぶ進化した模様。もはや火サスとは侮れない。いや、そもそも作中いっぱいに散りばめられた暴力や残虐性は、とてもゴールデンタイムにTVで放送できないで... ...続きを見る
ここなつ映画レビュー
2012/06/11 16:46
『プレイ‐獲物‐』 (2010) / フランス
原題: LA PROIE/THE PREY 監督: エリック・ヴァレット 出演: アルベール・デュポンテル 、アリス・タグリオーニ 、ステファン・デバク 、セルジ・ロペス 試写会場: なかのZERO 小ホール ...続きを見る
Nice One!! @goo
2012/06/27 08:02
プレイ‐獲物‐/La proie/逃亡と追跡が一体化した面白さ
刑務所で知り合った男に妻への伝言を頼んだ主人公が、実は男が連続殺人犯だったことを知り妻子を守るために脱獄し男を追う様子を描いたサスペンスアクションだ。主演はアルベール・デュポンテル。共演にステファーヌ・デバク、セルジ・ロペスが出演している。監督はエリック・ヴァレット。幹線道路を走り抜けたり、電車に飛び乗ったりと、アルベールの体当たりのアクションに注目だ。 ...続きを見る
LOVE Cinemas 調布
2012/07/03 00:01
『プレイ‐獲物‐』
今回観てきたのは、フレンチ・スリラー『プレイ‐獲物‐』。 ここ最近、大作映画よりもこういう映画を観る機会が多いような気がしてます。 ...続きを見る
Cinema+Sweets=∞
2012/07/13 21:00
プレイ‐獲物‐
個人的にはこじゃれたタイトルをつけて欲しかったな。でも面白かった。 ...続きを見る
だらだら無気力ブログ!
2012/09/06 00:35
プレイ‐獲物‐
−感想− 変態夫婦に浚われた愛娘を奪い返す為に刑務所から脱獄した男が疾走する! ...続きを見る
銀幕大帝α
2013/01/08 01:42
プレイ-獲物-
そうとは知らず先に出所した性犯罪者モレルを信じて家族の情報を渡してしまったため、脱獄を図り、女刑事の執拗な追撃をかわしながらも妻子を守ろうとする男を描いた作品です。フレンチ・サスペンスも最近いいのが増えてきたよね。監督さんは「ワン・ミス・コール」の人。 緊張感が途切れることなくテンポ良く展開が進むので、「おお」とか「うわ」とか思ってる暇もない、見せ場の多い捻りの効いた作品になってます。ビルからのガラス突き破って下の車への突き抜けジャンプや、走行中の電車へのダイブ、カーアクションなど、生... ...続きを見る
いやいやえん
2013/01/27 10:09

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
久しぶりー。
この試写当たってたんですけど諸事情で行けず。。。別試写があったんでそっちに行ったよ。
最近フレンチアクションが本当に多くて、しかもいい作品が続いてしまったために、本作はどこか既視感があってしまったというか・・・。 難しいよね。
ただモレルの妻が一番怖かったです。
rose_chocolat
2012/06/27 08:04

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