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zoom RSS 映画「ハードロマンチッカー」@よみうりホール

<<   作成日時 : 2011/11/23 19:24   >>

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 試写会の客入りは1階席が7〜8割くらい、2階席は3〜4割くらいと非常に客入りが悪い。
   
画像

 映画の話
 下関に生まれ、街を歩けば幼いころからの顔なじみのヤクザ・庄司(真木蔵人)に危険な物を無理やり渡されたり、刑事の藤田(渡部篤郎)に絡まれたりするフリーターのグー(松田翔太)。ある日、後輩の辰(永山絢斗)とマサル(柄本時生)が敵対関係にある高校生の家に殴りこみ、それを聞いたグーは、事件の真相を求めて奔走するが……。

 映画の感想
 近年、女性観客主体となったぬるま湯状態の邦画界に、焼き石をぶち込んだようなバイオレンス満載の作品だ。丁度、70年代くらいの男性観客主体の東映映画のように、女性は男の性の対象でしかない扱いなので、女性観客は嫌悪感を覚えるかもしれないので要注意な作品である。作品はグ・スーヨン監督の自伝的な小説を映画化したらしいが、話は良く判らないうえに、登場人物が非常に多く混乱してしまう。何せ、試写会入場時にチラシと一緒に、プレスを縮小したような手引書まで渡されたので、宣伝側も本作を難解と理解しているのだろう。私も家に帰り、チラシと解説書のストーリーを読んで、やっと描いていた事を理解するくらいである。

 本作が描きたいのは暴力であり、話は暴力を描くための道先案内的なガイドラインなのかもしれない。本作の暴力は本作を配給した東映が70年代に描いたアクション映画はとは正反対の暴力である。70年代の東映が描いた暴力はやくざの抗争なり理由がちゃんとあって、熱い血潮が流れていたが、本作の暴力は理由も無く無秩序な醒めた暴力のように感じた。特に監督が狙っていたかは不明であるが、暴力シーンの殆どが引いた画が中心で、決して暴力を振るっている人間にカメラが寄ろうとしない。

 70年代東映作品、特に深作欣二監督「仁義なき戦い」シリーズなんかは、暴力シーンではカメラが率先して演者に近づき、近づきすぎてカメラも一緒に転がり、画面が縦になったり、横になったり大変な事になっていた。それと比較するのもなんだが、本作の醒めた暴力シーンを見ていて私は「カメラ、もっと寄ってくれ」と心の中で叫んでいた。それと暴力シーンで演者の表情を見たかったが、こちらも殆ど表情をカットインしてくれない。唯一、グーがマサル(柄本時生)をアパートで殴るシーンで、2カットだけマサルのアップが入るものの、他のシーンは暴力を振るっている側と、振るわれている側の表情が映されず、キャラクターの感情が読み取れないのも難点だろう。

   以下ネタばれ注意


 他にも、本作は物語の当事者だけが描かれ第三者の視線が無い。例えば、不良たちに占拠された喫茶店や、庄司(真木蔵人)が若頭(白竜)に焼きを入れられるそば店や、グーが大暴れするお好み焼き店の店内と店頭などを見ても、その店で働く従業員の第三者としての視線やリアクションは必要と思う。何か本作は当事者だけしか描かれていない為に、一つ一つのシーンが絵空事に映ってしまうのも難点に感じた。

 以下ラストについて書いています

 さて、ストーリーは難解なので割愛するが、問題はラストにあるように思う。映画冒頭に警察に捕まった辰(永山絢斗)が、警察署から護送される所で刺殺されるシーンが描かれるが、刺殺犯と警察がもみ合う中に、グー(松田翔太)が刺殺犯の落とした包丁を拾って割って入った所で引きの画になり、護送車ごしに銃声とピストルの閃光が映される。その後、グーは何も無かったように中華料理店でラーメンを食べるシーンとなるが、あのシーンは深読みすると、グーは護送車の前で警官にピストルで撃たれ死んでしまった。そして、死ぬ前のグーの魂が中華料理店に出向き、ラーメンを食べている幻想を見ているシーンではなかったのでないだろうか?

 何故、こんな見解をするかと言うと、私は松田翔太の父・松田優作主演の「蘇える金浪」「野獣死すべし」のラストは両方とも、死んだ主人公の幻想が映像化されたと理解していて、スーヨン監督も優作作品をリスペクトし、本作も観客にミスリードを与えるように、ラストの中華料理店の映像を入れたと私は勝手に解釈した。まさか、また単純に時系列が飛んでしまったのか?あくまでも私の推測なので、間違っていたらごめんなさい。

 TREview

 
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ハードロマンチッカー
“ハードなバイオレンスのが行き着く先はモヤモヤした閉塞感” 誰ともつるまず自分の価値観だけで生きようとしているグーは、どんなに暴力をふるっても、彼のモヤモヤとしたやり場のない怒りが晴れることはないように思います。目の前で女の子がレイプされようと、自分を目の敵に思っている連中に囲まれようと、興味がなければ手を出すこともなく、いたってクールに振る舞うところは、グーのかっこ良さだと感じます。 そして、彼の行動が暴力の連鎖を生み出していき、敵に囲まれてしまう様子は、どこまで行っても出口の見えない彼の心が... ...続きを見る
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
エンドロールの後日談でグーは「消息不明」となっていましたから少なくとも映画の中では死んでないですね。警官撃って逃亡じゃないでしょうか。
佐藤秀
2011/11/30 08:10
私はエンドロールで登場人物のその後が文字で示されている中、グーの「消息不明」が逆に不自然で、ぶっ飛び深読み解釈をしてみました。
答えは監督に聞かないと判らないです。
masala
2011/11/30 16:20

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